緑のなかで過ごすと、リラックスできたり、元気がでたり、食べ物がおいしく感じたり。そんな力をもつ緑の空間は、あなたの家の近くにもきっとあるはずです。「緑を感じる場所」のシリーズでは、緑を感じられるスポットやイベントをご紹介していきたいと思います。
「いつか」と思っていることを、「次の週末」に。
#週末野心 をキーワードに生活者と共感で繋がるライフスタイルブランド「NEXTWEEKEND」を運営する(株)ガルテンが手掛ける、屋上庭園「COMMON FIELD(コモンフィールド)」のご紹介です。
渋谷から、東急田園都市線の急行電車で約20分。横浜市青葉区にある「たまプラーザ」駅。そこから徒歩すぐの百貨店屋上に、1000坪にもなる広場「COMMON FIELD」があります。
都心からほど近い場所でありながら、空が広くみえる場所。駅前とはおもえないほど、清々しく大きな空間が広がっています。
この広大な広場では、ヨガやマルシェなど、定期的に楽しいイベントが開催され、週末はもっとも賑わいます。
この空間のコンセプトは「ここは、この街の人が家族になれる、大きな庭」。今から約半年前に、(株)ガルテンが企画プロデュースし、「COMMON FIELD」と名付けられました。
そしてこの広場の一角には「GARTEN COFFEE & Seasonal Wishes」 というカフェがあります。
ここは、もともと「ガーデンプラザ」として古くから幅広い年代に親しまれていた場所でした。40年の時を経て、老朽化のため、百貨店が一世一代の大リニューアル工事を行うというとき、ガルテンもプレゼンに参加。見事その企画を勝ち取り、この空間全体を生まれ変わらせることとなりました。
そもそも場所を“プロデュース”するとは、どういうことなのか想像がつかないかもしれません。
NEXTWEEKENDというライフスタイルブランドは、生活者の「叶えたいこと(=WISHLIST)」とクライアントの抱える課題を掛け合わせ、本質的な価値を編集・翻訳して、“NEXTWEEKENDらしい” 憧れの世界観の中で 提案することが特徴です。
いつも形にとらわれない思想に、共感しているファンも多いのです。
2016年に発刊した雑誌「NEXTWEEKEND 2016 Autumn&Winter 」にある、2020年までの 展望を描いた地図。
「この庭に来れば、それぞれが自分の好きなものや、“そうそう、これがしたかったんだった!”という純粋な気持ちを思い出せる、そんな場所 にしたかった。」と、お話をお伺いしたのは(株)ガルテンCCOの川島文乃さん。
会社名の「ガルテン」は、ドイツ語で「庭」を表します。
2020年にはオリンピックがある予定で、庭や公園のような、人が集まってコミュニティができる場所に「一軒家のようなオフィス」があったらいいな、という漠然とした展望 がずっとあったそうです。
この広大な庭の一角に構えたのは、オフィスではないけれど、自分たちの基地ともいえる場所。それがコーヒー屋さん「GARTEN COFFEE」です。
このカフェのコンセプトは“大人と子どものための”「場所」です。大人が子どもに“合わせる”でも、子どもが大人に“付き合う”でもなく、それぞれが心地よく楽しめる場所でありたいという思いが詰まっています。
この庭に咲くハーブを使って、お店のメニューを作ったりもしています。
使っている家具は、その昔この百貨店が、銀座で営業していたカフェにあったもの。
ソファは張替えをして色の印象を整えました。
場所もモノも、今までの歴史をきちんと繋いでいく「ガルテンらしさ 」を意識して受け継がれました。
コーヒー屋さんについてお伺いしたのはGARTEN COFFEE ブランドマネージャー の井野麻美さん。
カフェもオープンしてまだ半年。先日このカフェで行われたイベント「GARTEN KIDS CLUB」では、ある食料品ブランドとのタイアップで「母の日のプレゼントをつくる」という企画が実施されました。子どもたちはブランド担当者から商品のなりたちや使い方を学び、どんなデザインのパッケージにしてプレゼントするか、案を練りながら自由に手を動かしていきます。
イベントの開催中、大人は別の場所で憩いの時間を過ごすという、まさに“大人と子どものための”ものです。
企画を考える際に大事にしている3つのことは
・「つなぐ」子どもと地域、子どもと社会、子どもと大人
・「出会う」新しい興味関心、新しい自分、新しいお友達
・「耕す」 好きなことを耕し、自分の好きを育てる
「子どもたちにとっても、コーヒー屋さんがきっかけで、自分の野心に気づく場所にしてほしい。コーヒーを親子でいれたり、企業さんからお話を聞いたり。ちょっとした社会参加で、アート、珈琲、地域に興味をもち、小さな成功体験を重ねてほしい。」と、麻美さん。
ここに来るなら、せっかくなら眠っていた読みたい本を読もう、あのドリンクを飲もう、お買い物してここで食べよう…。
庭や、公園のいいところは余白があって、いろんな人がいろんな風に楽しめることです。ここにくると「ToDo(やらなくてはいけないこと)よりもWISHLIST(やりたいこと・叶えたいこと)が浮かんで、何かが大きく変わったわけでなくとも、前向きな気持ちになってもらえたら嬉しい」と、文乃さん。
お二人とも、自身のライフステージが変化し続けている今も、本質的な想いはずっと変わっていないそう。
コロナ禍があけて、ガルテン社として実に3年ぶりに企画したリアルイベント「The PICNIC DAY」は、この庭のオープニングを記念して、今までにない規模で行われました。北海道、九州から参加してくださる方もいて「そうそう、こういうことしたかったの」が溢れていたそう。
ピクニックは「せっかくなら」のタマモノ。外で食べなければ、荷物はない、汚れない、熱くも寒くもないけれど、「せっかくなら」。庭というのは気持ちをオープンにする場所でもあるから、心が豊かになっていくきっかけを作りたい、それがこの庭に込めた想いの一つでもあるそう。
マルシェでは、生産した方のお話を聞きながら、お買い物ができます。
「スーパーに行けばすむし、もっと安いモノがあるかもしれないけれど、わざわざ作り手の話を聞いて買うのは、やはり“せっかくなら”という私たちの思想にくっついているものだから。」
「ここに行けば楽しいことをやっていていいものとの出会いがあって、それに行けた週末が自分の充足感に繋がる、それがここの文化になっていくといいな。」と、文乃さん。
お店としてはこの街にとってなくてはならない「街のコーヒー屋さん」 になり、安心できる場所になることが当面の野心だそう。
駅周辺は“今どき”のテナントが立ち並ぶなか、1本道を挟んで建っているこの百貨店は、私たちの母親世代も落ち着くような老舗ブランドも入っています。
庭と繋がっている階はもともと紳士服売り場だったところ、この庭ができるのに伴い、同じ階にファストファッションや子供服売り場ができ、ベビーコーナーも設置されるなど、やさしい連鎖もおこっているのだとか。
「緑を感じる場所」。家族と、子どもと、おひとりでも。
「せっかくなら」おでかけしてみては?
(文:松岡)
<取材協力>
COMMON FIELD
神奈川県横浜市青葉区美しが丘1丁目7
たまプラーザ テラス ノースプラザ(東急百貨店) 3階庭園
GARTEN COFFEE & Seasonal Wishes
営業時間 10:00-18:00(不定休 )
たまプラーザ駅直結
「COMMON FIELD 」にオープンした大人と子どものためのコーヒー屋さん
※内容は取材当時(2023年7月)のものです。