活きて、生きる。
木々が聳え立つ森林に囲まれたわが家の中心で、また一つ呼吸する。
子どもの寝かしつけを終え、照明の光が反射するステンレス天板に、面材の木の表情にうっとり見惚れながら、静かに1日の終わりを迎える。そっと紅茶を流し込み、ぼーっとするこの時間が私は、好きだ。
はじめまして。佐藤あこと申します。
大手ハウスメーカーや業務委託にてインテリアコーディネーターとして働いたのちに、現在個人事業主としてお施主さまに寄り添った提案をおこなっています。
2年前に、山の麓の土地を見つけ、夢のマイホーム計画へ。
借景を生かして、森林、木のキッチンというところで親和性を意識して打合せを進めていきました。そんななかで拘ったキッチンのお話に少しばかり、お付き合いいただけたら嬉しいです。
木に対する想い
もともとキッチンは、「木のキッチンにしたい」という強い想いがありました。
SNSで保存した写真を集めると木のキッチンが多かったとか、デザインとか特徴のあるキッチンを「素敵!」だと直感的に感じてしまうというよりは、どこか潜在的に、いちユーザーとしての実際の使用感が気になるといった好奇心もあったと思います。
扉材や側板などで、メラミン材やシート材などのキッチンメーカーが主流となっている中で、木のキッチンの使用感は率直に気になる理由の一つでした。
はじめは、オーダーキッチンで、理想とする木のキッチンが作成可能である3社に見積りを依頼。けれども、全て予算オーバー。
そんな時に、もともと知っていた(10年前の記憶なので、どういった経緯で覚えたかが定かではない)「ウッドワン」の名前が頭によぎり、新宿のOZONEへと足を運びました。
そして、ショールームで一目惚れしたのが、今わが家のキッチンに採用しているスイージーのパイン材です。
この展示が、スポットライトで主役のように光が当たっていた光景が今でも印象的で…
当時、ウッドワンのイメージは、自分のなかでは、ナチュラルで自然な風合い、フレームキッチンでは、アウトドアといった印象がありました。ですが、当時のショールームの展示や、スイージーのカタログの表紙を見て、自分が想い描いていたインテリアイメージがウッドワンによって実現できると確信に変わりました。
手入れで木を愛で、育てる
本音。「木のキッチン」と聞くと、実際の使い勝手やお手入れが気になる方も多いのではないかと思います。
結論から述べると、わが家の扉材の表面上には”ウレタン塗装”が施されているおかげもあり、汚れはまったくと言っていいほど気になりません。
正直、塗装されていても汚れが落ちにくいのではないかと感じていましたが、実際は濡れ雑巾で軽くこするだけで、簡単にきれいになります。
しかも、わが家のパイン材の木目の濃淡がはっきり出ているおかげか、他の材質のものよりも汚れても目立ちにくいように感じます。新居から約2年。傷は血眼になって、ようやく1箇所の小さな傷を見つけましたが、遠目からだとほとんど分かりません。
一般的なキッチンの主流として挙げられるメラミンや化粧シート材では、「傷」は「傷」として残る。
けれども、木のキッチンは「傷」が木の個性に変わる、そう思っています。節や木目の濃淡が一つひとつ異なり、同じものが二つとして存在しないように、わが家の木のキッチンは唯一無二であり一緒に育っていく。日本の風習でもある、家の柱に身長を書く文化が思い出になるのと同じように、木の汚れや傷も木、その子の魅力でもあると感じています。
多岐の選択と可能性を拡げる
家具のような柔らかな佇まいのキッチン。
コーディネーターとして、このキッチンに意識したのは”空間全体との調和”と”取捨選択”、”ノイズを減らすこと”です。
わが家は、ダイニング側が吹抜けになっていて奥の窓から見える森林の景色とキッチンの木の素材感が空間全体、呼応しているような印象を与えていると感じています。
キッチンに立つと、窓の向こうに緑がちらりと見える。そんな、東と西の窓からの借景を楽しみながら、家の中心でも木は生き、静かに息づく。自然に囲まれる空間に居心地の良さを憶える。
空間全体、統一感を持たせることで、自分も自然と溶け込み、森の中に住んでいるような心が凪いでいく感覚があります。
以前、都会暮らしをしていた時よりも、時間がゆっくり流れていくようにも感じています。
スイージーは可能性を広げるキッチン。
ウッドワンの良さは、木であること以外にも、仕様の選択肢が豊富で、住まいやライフスタイルに合わせて柔軟に構成できる点も、大きな魅力のひとつです。
ウッドワンのキッチンは、取手ひとつをとっても、形状や質感にさまざまなバリエーションがあります。
それ以外にも、ハウスメーカーや工務店にもよりますが、施主支給というかたちで、お施主さま自ら取り寄せた取手をつけることも可能な場合もあり、別の選択をすることもできます。
そのなかで、わが家のキッチンは、あえて取手を設けない仕様としています。
視覚的なノイズを少しでも抑え、空間をすっきりと見せるために、意図的に「取手なし※オプション対応」で納品していただきました。
また、その他にもノイズを減らすために、壁際の水返し(バックガード)をワザと無くした仕様にもしています。
水返しを無くすことで、天板からキッチンパネルの間はコーキングしか存在しないのでスッキリとした印象になります。
私自身は行っていませんが、例えば、パイン材を無塗装で納品してもらい、現場で色を着色したり…そんな選択もウッドワンならできる可能性があるわけです。(※無塗装品の使用・取扱いについての注意及び保証についての覚書ご署名が必要になります)
こうした自分好みのオリジナルなキッチンへと実現できる、柔軟な対応が可能な点もウッドワンならではの魅力です。
木は唯一無二であり、この子はこの子の良さにしかない。ここで生きて、活きて、家族の一員のように私は感じています。
五感を愉しむ
木は、インテリアにおいて、「ナチュラルすぎて理想の雰囲気と合わないのではないか」や「手入れが難しそう」といった先入観から、選択肢から外されてしまうことも少なくないように感じています。
10年ほど前の「木のキッチン」は、カントリー調やインダストリアルな印象が強く、キッチンそのものが主役となる空間が多く見られました。
しかし現在は、空間全体でのトータルコーディネートがさらに重視され、素材の扱いや色のバランス、細部の納まりといった技法に至るまで丁寧にブラッシュアップされています。その結果、表現の幅も大きく広がり、多様な実例が生まれている、そう感じています。
もし今この記事をご覧になっている方がいましたら、ぜひ一度お近くのショールームに足を運んでみて欲しいです。
私が今のキッチンに一目惚れしたように、五感で感じていただきたい木の良さは、実際にあなたがショールームで見ていただかないと分からないのではないか、そう思っています。
木の香り、触れたときに感じる”生きている”というあたたかみ___。
そして実際に触れることで、日々のお手入れのしやすさも体感していただけるはずです。
家づくり。もちろんハウスメーカーや工務店選びも大切ですが、主体となるものをあえて先に決めるという考え方も、ありなんです。それは、空間の印象や心地よさを大きく左右するのは、実は”素材”そのものだからです。
「食」と密接に関わるキッチンを木で仕上げることで、心地よさと共に、日々の暮らしの中に新たな発見や悦びが生まれます。
経年変化とともに変わっていく、この子の姿を愉しみにしながら、今日もまたともに時間を重ねます____。
木ままびと。2026メンバー。
大手ハウスメーカーに勤務したのち、現在は一児の母として子育てに勤しむ傍ら、コーディネーターとして独立。
”審美眼を養う” ロジカルで細部にこだわる内装選定を得意とし、垢抜け添削やインテリア相談なども行っている。
Instagram:@a____kohm