まるで森の中のカフェ。木と器、手作りに彩られたおうち時間。
まるで隠れ家カフェ
愛知県の山あいに暮らすnatsumiさん。
ご夫婦のお住まいは、まるで隠れ家カフェのような、心ときめく空間です。
木のぬくもりと、丁寧に集められたインテリア、そして手作りの品々が調和する、おふたりの「好き」が詰まった暮らしを訪ねました。
LDK
名古屋駅から車で約1時間。美しい山々の緑が広がる、豊かな自然に囲まれた閑静な地にあるご自宅。心地よい音楽が静かに流れる室内は、長年通い続けたカフェのような懐かしさと、心温まる空気に満ちていました。
おやつ時間
お休みの日はご夫婦での”おやつ時間”が定番。
「お店だとワンカットしか食べられないけど、自分で作ればワンホール食べれる!と思って」 そんな遊び心から始めたnatsumiさんのお菓子作りは、今では暮らしの楽しみに 。
栗のパウンドケーキ
「見て!すごくきれい!」
栗のパウンドケーキを焼いたというnatsumiさん。ナイフをいれながら、無邪気にご主人に声をかけられる様子にほっこりします。
「かわいい器にしよう」
ガラスのキャビネットから、カップやお皿を出して準備。その間ご主人は、慣れた手つきでお湯を沸かし、コーヒーを淹れます。
キッチンまわりの棚に並ぶアイテムは、マルシェや個展に足を運び、少しずつ集めたお気に入りのものばかり。
リビングの小さな鏡
「この鏡越しに映り込む景色が、本当にかわいいんです」と、natsumiさん。
ダイニングテーブルに飾られたお花や照明が、一枚の絵葉書におさめられているようでした。
ガラスの食器棚
壁面に並ぶ、アンティークのガラス食器棚。こちらもまるで雑貨屋さんのよう。ぽってりと愛おしい、白の食器が上品に並びます。
「ここで暮らしはじめて2年になりますが、ずっと食器棚を探していて。やっと見つけたときは一目惚れでした」
丸い陶器の取っ手
「ダイニングに置いているキャビネットも、白い陶器の取手なんです。ひとつひとつ味があって好きです」
オーダー家具屋さんのテーブルに、海外製のゆったり座面の椅子、座り心地の良いソファ…、古道具や家具のひとつひとつから、丁寧なもの選びの物語が感じられます。
無垢の木のキッチン su:iji
おやつ時間の相棒ともなるキッチンは、無垢の木のキッチンsu:iji スイージー。
当初は標準プランのキッチンで良いと思っていたそうですが、同時期にお家づくりをしていたという友人が「ウッドワンの木のキッチンにする」と聞いたことがきっかけでその存在を知ったようです。
「どんなキッチンか見せてもらったら、すごくかっこよくて。じゃあショールームに行ってみるかと思って、行って実物を見たら、即決でした」
框組の扉デザイン
扉はニュージーパイン® NZ30。四方組み上げられた框組のデザインで、リビングの建具とデザインを合わせられています。選んだカラーはライト(LT)色 。経年変化で色が濃くなることを見越して少し明るめの色を選択されました。
ステンレスバイブレーションのワークトップ
「水栓はこのまるい形(グースネックタイプ)で、ワークトップもステンレスのバイブレーションが良くて。一つ一つ、そんなに悩むことなくショールームで決めました。あと、アリアフィーナのレンジフードもかっこよくて譲れなかったです!」
黒×木×真鍮のキッチン空間
取手は黒のB型ハンドルをセレクト。「棚板の金物を真鍮にしたので、キッチンも合わせて真鍮にするか迷ったんですが、濡れた手で触ることもあるから、と思って。持っている家電が黒なので、それに合わせました」
木と黒と真鍮がバランスよく調和。ひとつひとつ、アイテムを丁寧に選んだことがうかがえます。
造作の収納食器棚
キッチン後ろの食器棚は、パイン材の造作に。
「食器棚の上にオープンな飾り棚が欲しかったので、その棚板と素材を合わせたいと思って造作でお願いしました」こちらはオープンな収納で、何がどこにあるかひとめでわかります。
平屋暮らし
ご夫婦が家づくりを考え始めたのは約7年前。以前のお住まいは、メゾネットタイプの賃貸住宅で「階段の上り下りが大変」という思いがあり、平屋を希望されていました。
ご主人の趣味であるキャンプを夫婦で一緒に楽しむうちに、「木が好き」という共通点が生まれ、その想いを原点に、「木の家」を建てるという夢が膨らんでいきました。
ウッドデッキの予定だったダイニングスペース
「提案されたというより、自分たちがこうしたいという要望をたくさん出しました」と、家づくりを振り返るご夫婦。規定プランの間取りから、大きく変更もされました 。
「キッチン横の空間は標準プランではウッドデッキスペースになります。でもそれだとちょっとLDKが狭い気がして。室内の間取りを拡張してダイニングスペースにすることで、ソファのあるリビングスペースを広くとることができました」
テレビがないLDK
「テレビはあんまり見ないからいらないかなって。プロジェクターで、映画を見たりします」と、natsumiさん。
テレビがないことで生活感が抑えられ、よりカフェのような落ち着いた雰囲気になっています。
リビングの造作ガラス戸
床は無垢のパイン材、壁には調湿性や消臭効果にも優れる漆喰壁を採用し、自然素材に囲まれています。
リビングドアは、空間に抜け感を与えるガラス戸をオーク材で造作。
これもご夫婦の希望で「扉の高さと室内窓の高さを揃える」といった、空間全体が美しく見えるよう微調整もされました。
プロの意見も取り入れ、配慮を重ねて仕上げた空間は、洗練された印象と、心地よさを生み出しています。
開放的なオープン収納
玄関、クローゼット、パントリーに至るまで、収納は扉を設けないオープンな棚が基本 。
これは「取り出しが楽だから」という実用性に加え、お気に入りの雑貨や器を飾るように楽しみながら収納するための工夫でもあります。
あえて扉をなくし、カーテンで仕切るなど、暮らし方に合わせた自由な発想が、空間をより豊かに彩っています。
寝室の仕切り「ポジャギ」
お菓子作りに加えて、裁縫や小物も手づくりするというnatsumiさん。
光に透ける様子から「布のステンドグラス」とも呼ばれる韓国の「ポジャギ」。リネン素材の手縫いの温かみが、空間を優しく仕切ります。
「家を建てる前から『寝室の仕切りに』と思って作り始めたのですが、なかなか時間がとれなくて。2年越しで、最近やっと完成したんです」
「手の置きもの」紙粘土のオブジェ。これもnatsumiさんの手作り。
暮らしを豊かにするアイデアは尽きません 。
室内窓越しのリビング
寝室の一角に設けられたワークスペース。その室内窓から見えるのは、ご夫婦が想いを込めて作り上げてきた、リビングの景色。
ここが、この家の一番のお気に入りの場所だそうです。
「仕事の間、ずっとこの景色を眺めているんです。自分たちが一つひとつ選んだ大好きなモノに囲まれたリビングが見える。この時間が本当に幸せで」
まさにその眺めは、ご夫婦が「好き」という気持ちを大切に、丁寧に作り上げてきた暮らしの結晶そのもの。おふたりの人柄がにじみ出る、木のある心地よい時間が流れていました。
(文:鈴木)