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ピザと時を味わう、KUSE HOUSE。

カフェ?インダストリアル?アーリーアメリカン?

ひとつのテイストに縛られない空間。自分たちの好きなものを“癖“強めに思う存分詰め込んでつくった家。
リビングの扉をあけた瞬間から、家族のおだやかな時が流れています。

秩父でくらす。

埼玉県秩父市は、都心から電車で約1時間半の、雄大な自然が美しい場所。四季折々の山の表情が、暮らしを豊かなものにしてくれる。
そんな街で暮らす、ご夫婦とお子さん2人のH様ご家族。生まれも育ちも東京の奥様は、結婚して家づくりすることを機に、ご主人のご出身である秩父へ移住を決めた。

「もともと自然が好きでアクティブなほうだったので、秩父の山に囲まれた環境に慣れるのにあまり時間はかからなかったですね。虫が大きくてびっくりしたけれど!」と、奥様。

リビング扉のサインペイント

玄関からリビングにかけて、お店で見かけるようなサインペイント付きの扉がお出迎え。なんと、職人が丁寧に手描きしたもの。

“TAKE IT EASY L’AZE AROUND”―気楽にいこう。
だらだら過ごしたっていいじゃない。ここに入ってから、のんびりした時間が流れる。
その下には、
“Chill Time 11:47~11:47”―くつろぎの時間。
11:47は、長女のこはなちゃんが生まれた時間です。

「お店の扉って、よく営業時間が書かれているじゃないですか。それをまねてみました。ここに入ってからは幸せな時間がずっと続きますよ、という意味を込めて」。

11:47

リビングの時計は、工務店さんのコレクションから選んだビンテージもの。赤い秒針にシンプルな文字盤は、タイムレスなデザインで存在感がある。最初に電池をセットする際に、針が11:47を指していたので、担当の方の粋な計らいに感謝の気持ちを伝えたところ、それは偶然だったことが判明。長い年月を経てH様の家に呼ばれたのかもしれない。

そして、たまたまこの素敵なエピソードをお聞きしている時間も、11:47だった。

KUSE HOUSE

“KUSE HOUSE”と命名したのは、担当の建築デザイナーである“辰彦さん”。

「作りたい空間のイメージを沢山伝えました。行きつけのカフェの雰囲気を、キッチン周りに。インダストリアルな工業チックな要素は、リビングに。アメリカンダイナーを思わせる、ミッドセンチュリーな雰囲気をソファ周りに。やりたいことは、全部やりました」そう目を輝かせながら話すご夫婦。

好きなものを詰め込んだら、表情豊かであちこちに個性が感じられる「癖のある家」が完成した。
家づくりにおいて、間取りなどの大枠は8割くらい辰彦さんに決めてもらい、そこから「ああしたい」「こうしたい」を決めていったそう。

オープンハウスの要素を取り入れる。

「家を建てるまでに、工務店さんが定期的に開催するオープンハウスには、ほとんど足を運んで勉強しました。でも、色んな家を見ていると、どこも素敵なので気持ちがブレブレになっちゃって(笑)ここの家の雰囲気いいな、こんな感じにしたいなと思っていたら次の家は印象がガラリと変わったりとか」

ひとくせある床の貼り方や、古材の使い方…。沢山の家から見つけた、お気に入りの要素を自邸に取り入れたそう。

香ばしいにおいを辿ると

部屋のなかで存在感を放つ、赤色のピザ窯。「友達の家の自家製ピザがすごくおいしかったので、新居にもどうにか取り入れたいとおもいました。庭に耐火煉瓦を積んで、薪をくべて・・・とまではいきませんが、ネットでこれだ!と思うものを見つけました」とご主人。
主張が大きい分、熟考した設置場所。「目線を外した先にあるくらいがちょうどいいかな」ということで、LDKの端に寄せることに。

みて愉しむ。

「壁で覆ってしまうと、ピザ窯側面の可愛いデザインが見えなくなってしまうのはもったいない」と片面の壁を抜き、ガラスをはめた。ピザ窯を眺めるためだけにつくられた窓である。窓からの眺めを、小さいミルクガラスがぽっと照らす姿がいとおしい。

ピザ窯を囲む動線

バーカウンター

お友達が遊びに来たときに大活躍なピザ窯の配置は、考え尽くされている。ピザをサッと提供できる、キッチン前のバーカウンター。おとものドリンクやサラダは、キッチンからパッと渡せる。

傷がついてもサマになるキッチン

キッチンは、su:iji NZ30(落し込み框組)無塗装を現場で木の色に合わせて、オイル仕上げに塗装。
「オープンハウスで見て、家の雰囲気に合うのと見た目がかっこいいなと思って選んだ」とご主人。
家全体の雰囲気をビンテージライクにしたので、汚れてもいいと思ったそう。使い込むほどに、木のいい色がじんわり出る仕上げ。

使い込むほどに美しい。

キッチンのワークトップは、ステンレスバイブレーション仕上げ。表面に施された研磨加工は、後からついたキズも味わい深い風合いになる。

キッチン周りの収納

ゴミ箱が下にスッキリしまえる、シンク下オープンの納まりがしっくりきているそう。
キッチン側で引出の数を減らした分、背面の造作カップボードで収納量を確保。適材適所に物を収納し、炊事しやすい工夫がされている。

シンク下のハンドルは、タオルかけとしてご主人が後から取り付けたもの。「入居して1週間で穴をあけて取り付けちゃいました」。カスタマイズしながら、家族にとってちょうどいい暮らしをみつける様子が窺えた。

不揃いのダイニングチェア

アパート住まいの時も、貼ってはがせる壁紙を使うなど、インテリアはずっと好きだというご主人。ダイニングチェアは不揃いで、良いと思ったものをひとつずつ選んだそう。

青いパイプのチェアは、アメリカのクラリン社「フォールディングチェア」。あえて、他の4脚と質感と色を外したという。少し重いけれど、意外と座り心地がよいところがお気に入り。

家にこだわる人は照明にこだわる。

照明はライティングコーディネーターの資格を持つ工務店の担当者さんと相談。掘り出し物のビンテージ品コレクションをみせてもらい、そこから26個(!)もチョイスしたそう。家のあちこちで灯す照明は、ひとつひとつの個性が光ります。

ご夫婦おふたりに、一日の中で好きな時間を尋ねた。
「朝、ソファに座っている時。窓から青空が見えると、気持ちいいなと思います」と奥様。
「休みの日の夕方の、西日が少し差した時。ブラインドがダイニングテーブルに落とす影を眺めるのも好きです」とご主人。
太陽の動きや採光を考えた家づくり。時間とともに変わる窓からの景色が、家で過ごす時間をより充実したものにしてくれる。

暮らしの中で見つけた楽しみ

家のあちこちに飾られているアレンジフラワーは、奥様が趣味でつくられたもの。秩父市でみつけたワークショップに、長女のこはなちゃんと一緒に行ってみたことがきっかけだそう。
オンラインショップを運営したり、イベントへの出展など、だんだんと趣味の幅が広がりつつあり、こはなちゃんもお手伝いしてくれるのだとか。活動をはじめて1年、今後のご活躍が楽しみです。

今日も、明日も、ずっと続く幸せな時間。

当たり前のことですが、時間が経つほどにそこにあるものは傷がついたり汚れがついたりしていきます。
けれど、そんな姿もまるっと受け止めて愛しむ時間がここでは流れていました。
長い年月をかけてここに来たもの、新しくできたもの。それらとともに味わいを増しながら、家族の時間を紡いでいきたいものです。
「職に困ったら、ここでピザ屋さんでもしようかな」とご夫婦。
今日もKUSE HOUSEからは、ピザがちょうど焼きあがったいい匂いがする。

(文:加藤)


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設計:S.FACTORY


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