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暮らしもインテリアも、経年変化を楽しんで

心豊かに時を重ねて

日本海と瀬戸内海、南北にまたがる兵庫県。その中間あたりに位置する丹波市は、山に囲まれた土壌豊かな地域。寒暖差が激しく、豊かな水に恵まれたこの地では、古くから大粒の丹波栗や丹波大納言小豆などが栽培されることで有名です。
神戸や大阪など関西の市街地へも車で1時間あまりで行くことができ、住みやすく不便を感じることはないそう。

この地でお子さん3人を育て上げ、それぞれが独立した人生を歩み始めた現在、新しいことに挑戦しつつも、心豊かに暮らすゆかりさんのご自宅を訪ねました。

愛犬「ぷりん」くん5才

一緒に暮らすわんちゃんはカニンヘンダックスフンドのぷりんくん。取材時には見慣れない私たちに警戒していましたが、いつの間にかゆかりさんの膝の上でおとなしく、リラックスモード。

心地よい風と光

現在ゆかりさん、ご主人、娘さんの家族3人+1匹で暮らすこちらの家は外も中も、グリーンでいっぱい。建築から今年でちょうど10年になるそう。
「わんこがいるので、家の中はもう傷だらけです。」

リビング全体を見渡すことのできるこの位置に設置した椅子とテーブルは、ゆかりさんのお気に入りの場所。ここでゆっくりお茶を飲んだり、お仕事をすることも。

薪ストーブ

窓際には薪ストーブが設置されていて、冬場でもこれ1台あれば2階まで

家全体をあたためることができます。

低い天井に、段差をつけたダイニング

義両親が隣の敷地の離れへ移り住み、母屋だったところを建て替えされました。

継承された立派な梁(はり)

もともとこの場所にあったのは、生前に大工をしていたというご主人のおじい様が、結婚してすぐに建てた家。建て替えることになったとき、約100年もの間、家族を見守ってきたこの大きな「梁」はどうしても残したいとお願いしたそう。

明るすぎず暗すぎず、落ち着いたトーンの「オーク材」が部屋全体に使用されていて、モダンな雰囲気がありつつも、継承するものはしっかりと残されて、ご先祖様を敬う気持ちが表れているかのようです。新旧の融合が自然に馴染むのも、あたたかみを感じさせる木がもつ特性ならではでしょうか。

お気に入り、シチズンの鳩時計

壁にかかる鳩の時計は、ゆかりさんが小学校5年生の時に、どうしても欲しくて、お年玉貯金をはたいて手に入れたもの。何度か修理調整を施しつつも、永くつかっているうちに中身が壊れ、ついには替えの部品もなくなってしまったそう。時計屋さんに「もうハトが出たままになるけど…」と言われるも「時計だけでもいいから動かしてほしい」と懇願。現在ハトは飛び出したままですが、この家でしっかりと時を刻んでいます。

「思えば、そのころからインテリアが大好きでした。姉が読んでいた雑誌のインテリア特集をくり抜いてスクラップしたりしていました。」とゆかりさん。

リビング同様に、キッチン空間もオークで統一。

キッチンはスイージー、オークを10年愛用。

2014年頃に廃盤となったステンレスの「マルチシンク※」を、現在もご愛用くださっています。
「これいいですよね。もうなくなっちゃいましたけど…。汚れたときは作業台のところまでスポンジで洗って、シャワーでジャーっと流せて…」
お掃除がラクにできるところが、今でもずっとお気に入り。

※作業スペースがワイドに確保された厨房仕様のシンク。現在このシンク形状は廃盤です。

オプションの「水切りカゴ」は、掃除がめんどくさくなり撤去。のちにこのシンクで使える専用のまな板がほしくなったとき、もう在庫がなくて買えなかったのは後悔ポイントだそう。

こまめにお手入れを楽しむ

キッチンは生活感が出やすく一番汚れの付きやすい場所。それでも、建築から10年経っているとはおもえないほどの美しさを保たれていました。

不具合はなし

シンクも、扉も、今なおピカピカなまま、住空間に馴染んでいます。

10年経過、オークの扉

ちょうど自宅の建築当時にインテリアコーディネーターとして再就職したというゆかりさん。お客さんの家にもキッチンはスイージーをおすすめしていたそう。
「うわぁ~かわいい!こんなのがあるんだ!って飛びついたんです」

自分の家にもいれたいと思いつつ、ニュージーパイン®ではかわいすぎるかなと、発売したばかりだった樹種オークをチョイス。「主人がここに立っている姿が想像できなくて。笑 ちょっと大人な感じのテイストにしたんです」

(※スイージーは2012年7月に新樹種「オーク」、翌年2013年8月に「ウォールナット」が追加されました)

キッチンリセットが日課

現在は「絶賛介護中」というゆかりさん。すぐ隣に住む義両親の食事も、このキッチンでお料理を作って、トレーに2人分を並べて配膳する日々。休日は義両親も食べやすい煮込み料理を作り置き、普段は焼いたり揚げたり短時間でできるものを、ささっと作ることが多いそう。

一日の終わりには、必ず水滴をタオルで拭き上げるのが習慣になっています。

ステンレス、ヘアライン

当時スイージーを選んだ理由の一つとして、ワークトップの素材にステンレスの「ヘアライン」加工のものがあったことだったそう。

ステンレスのワークトップの中には、表面がぼこぼこしている「エンボス」加工のもの、研磨剤で磨いた「バイブレーション」加工のものなどがありますが、ライン模様がシャープでスタイリッシュなヘアラインの加工は、見た目もシンプルで、拭き上げるとより清潔感を感じやすいのかもしれません。

引き出しいっぱい“ずっしり”収納

引き出しの底板もステンレスになっていて、拭けば綺麗になるので掃除に困ったことは一度もないそう。

「毎日みているので実感があまりないですが、扉の色、育ってますよね」とゆかりさん。
全体的にツヤが増して木に深みを帯びており、扉の木口が剥がれたりせず綺麗なままなのは無垢だからこそ。

台所からみえる山の景色。

「ここから外の山の景色がみえるようにしてほしい」というのも家を建てるときに要望したことの一つ。最初は家の前の道路が丸見えだったそうで、ブロック塀の上にDIYで木の囲いを少し足したそう。目線の先に映る世界を整えることも、好きなものに囲まれて暮らす秘訣なのかもしれません。

山は杉や桧の木で、夏は明るい緑をしているが冬にかけてだんだん緑が濃くなっていくそう。
「11月~春にかけて、冬場は深い緑の山の途中に霧がかかって、その景色が最高なんです」

暮らしの経年変化

山の景色と同じように、家族の暮らしや状況も刻々と、年々変化していくもの。

この家を建てる前までは、ずっとご実家の家業を手伝っていたというゆかりさん。子どもたちがどんどん成長して自立していくにつれて、「あと何年働けるかな?私も、自分がやりたいことやりたいな…」と、ふと考えた時期があったそう。

日々子育てに追われて忙しく、もう憧れていたことすら忘れかけていたそうですが、45歳のときにインテリアコーディネーターの資格に挑戦して見事合格。職業訓練を受けて、地元の工務店に再就職されました。

「息子が大学受験で勉強している姿をみて、その一生懸命な姿が羨ましかったんです。私の中では人生で一番勉強した1年でしたね」

仕事と介護と

お客様との打ち合わせなどがあるので、土日はほぼ出勤の、フルタイム勤務。職場の理解もあり、介護との両立も今のところできていて、大変ながらも楽しく充実した毎日だそう。

休日は一緒に暮らす娘さんとお買い物にでかけたり、長期休暇には、離れて暮らす息子さん2人も帰省して賑わいます。

アパレル×インテリア

ゆかりさんがおすすめするインテリアのテイストは、シンプルながらもほっとくつろげる空間。

ちなみに長年従事してきた実家の家業というのはアパレル関係。デザイナーさんがデザインしたものがパタンナーさんに渡って、それから実際に服に仕上がっていくというのが一連の流れ。

「平面に描かれた図面を立体にしていくというところは今の仕事に通じていますね」

整理収納アドバイザー1級も取得

新築を建てたお客さまとは、メンテナンス等で関わることがあるそう。「家の中がなかなか片付かない、片付け方がわからないという相談を受けることも多く、違う方面からアドバイスできたら」と、さらに「整理収納アドバイザー1級」も取得されました。

完成祝いに同僚からもらったという自宅のスケッチ。

自宅を建築する際、予算の都合により縮小したのが収納クローゼット。「もうすこし大きくしておけばよかったな…」と今でも考えることがあるとか。「衣替えの度に、断捨離できるのでいいのですが…。あと2畳~4畳くらいあれば、“季節ごとにわざわざ衣替えをせずに済む収納”ができるんですよね」と、ゆかりさん。

ご自身の暮らしや経験をお客様の家づくりにも生かせるよう心がけていらっしゃいます。

リビングのインテリアを模様替え

季節ごとにラグやクッションのカバーを変えたり、冬はもこもこした素材のものに変えたりと、お部屋のコーディネートをご自身でも楽しまれています。観葉植物はほとんどがホンモノですが、日の当たらないところはフェイクグリーンを飾るなどの工夫も。

癒しを運ぶ観葉植物

ご主人が、室内の観葉植物を集めて庭に出して、水やりをしてくれることがあるそう。「ぜんぜん違うところに戻っていたり、たまに造花に水をあげていたりするんですよ」と笑って教えてくださいました。

(文:松岡)


このスタイルで使用している商品

設計・施工:KOTOS(株式会社 由良⼯務店)


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