家族の物語が巡る、平屋の暮らし。
キッチンを中心に。
仲良く走り回り、元気よく迎え入れてくれたのは、来年小学生になる男の子そうたくん(6)と、妹のゆいちゃん(3)の、二人兄妹。
子育て真っ只中、住宅系の建設会社で働く30代ご夫婦が、約3年前に平屋の一軒家を建築されました。
もともと近くの小さなアパートに住んでいたご家族。上のお兄ちゃんが保育園に通うようになってから、「急激に荷物が増えたと感じました」という奥様。通園バッグや着替えの洋服、おむつや布団など、保育園に必要な荷物はさまざま。子供たちがどんどん成長して大きくなり、おもちゃや絵本を広げて遊ぶのをみて、家族みんながのびのびと暮らせる家づくりを考えはじめたそう。
お互いの存在がみえる、広々とした間取り。家族4人の将来が見据えられた、木のある平屋の暮らしをご紹介します。
シンプルコーディネート。
コーディネーターの奥様と、現場監督として働くご主人。普段から住宅に使用される床材、ドア、キッチンなどのあらゆる内装建材をみており、家づくりに関しては、言わばプロのご夫婦。
自宅につかう素材は「無垢の床材」「オーク」と決めていたそう。色はあまり使わず、シンプルなものがお好み。
LDKにテーブルは2つもいらないと考え、みんなで囲める大きなローテーブルをリビングに一つだけ。
回遊性のある間取り。
実はこの家、キッチンを中心に部屋が配置され、廊下をぐるっと一周することができる間取り。いくつか案は考えていたけれど、「家事導線もよい、これがしっくりきた」と奥様。
子どもたちは、家の中を走りまわったり、おもちゃを広げたり、まさに自由きまま。
キッチンからの眺め
料理は得意ではないけれど「ここにいるのが好き」という奥様。ご自身で設計を考え、家族の様子を見渡すことができるキッチンは、一番お気に入りの場所だそう。
しかしながら「ここでゆっくりしたいけど、子どもたちが走り回るので…」と、ゆっくりと落ち着いて過ごせるのは、もう少し先かも?
オークのキッチンsu:iji(スイージーOK50、クリア色)
床材や家具をオークにしたかったので、それに合わせて選んだ、オークのキッチン。
家づくりはほぼ奥様にお任せだったご主人も、キッチンだけは「ステンレスのカウンターがいい」と意見が一致。
夫婦でショールームを探して見学し「これがいい」と決めたそう。
パーティ型キッチンと収納庫を2列に配置。
家全体の計画は、1年~1年半くらいかかったそう。中でも奥様が、「見た目もほんとに好み」というキッチン、スイージー。
「ゴミ箱が見えないし使いやすいから、シンクの下はオープン仕様で。取っ手は天板がステンレスなので、それに合わせてシルバーを選択しました」
家族とともに、兄妹仲も育つ、木のキッチン。
キッチンではご主人も、子どもたちとお菓子作りをよくするそう。「ママは写真撮ってて」とのことで、そのときの奥様は家族の専属カメラマン。Instagramアカウント obeeeo『家族とおうちの日常写真』では、兄妹のふとした成長の一コマが捉えられ、ていねいに綴られています。兄妹の自然な絡み合いのなかで「あ、と思ったらすぐ撮る」のがコツなのだとか。
ワークトップはステンレス
家族みんながつかうキッチン。ワークトップは、お掃除もしやすいステンレスを選択。
キッチンの仕様で、唯一後悔しているのは、食器洗い機にコンパクトタイプの浅型を選択したことだそう。小さいながらのメリットもある一方で、深型に比べると庫内の容量は少なめ。家族4人でつかうと、すぐにいっぱいになってしまうのが悩み。
「あー、これ使うと入らないな」と、食卓に並べる食器を考えながらお料理をする日々。
パントリーはつくらずに、1週間で使い切れる分を。
食材のお買い物は週1回、日曜日に。1週間分を計算して買うそう。敷地の裏に住むおじいちゃん、おばあちゃんが、手作り野菜をくれることも。
カメラ収納ゾーン。無垢の木の収納
持ちものの量を考えて、計画した収納。廊下には、奥様の趣味であるカメラの収納場所が。
好奇心旺盛で、なんでも触ってしまうのが子どもの習性。「最近は、きちんと言えば理解できるようになったのですが、子どもの手の届かない場所に収納がほしかったのです」と、高い位置に、扉付きの収納をつくったそう。
カメラは、奥様が二十歳頃から始めた趣味。徐々に用途は変わって、最近は子供たちの成長をおさめる大切な道具になっています。
キッチン横に設けた空間。
大きなダイニングテーブルが設置できそうな場所ですが、現在この空間はキッズスペースとして、兄妹の遊び場所となっています。
「最後の最後は、一人掛けの椅子などを置いて、自分の空間にしたいんです」と、奥様。いつか子どもたちが大きくなったときのことも、想像しながら。
おもちゃの棚は、まもなく勉強場所に
今のところおもちゃ置き場となっているこの部分は、棚板の高さを変えて、子どもたちが「リビング学習」できるようにと考えているそう。兄妹それぞれの子ども部屋も用意されていますが、ここはキッチンのすぐ隣なので目が届きやすく、程よく奥まった空間で、子どもたちも勉強に集中することができそうです。
棚の上部に飾られた、思い出の家族写真
家族がきままに過ごせる家。
「子どもたちはいつもこんな感じです。仕事から帰ってきても、“おいかけっこしよう”“あそぼう”って」
この家を建てて3年。ずっとコロナ渦だったため、人を招くことも、外食することもあまりなかったそう。その分、家族の絆はより深まったおうち時間だったのかもしれません。
これからもずっと変わらないようで、きっとあっという間に大きく成長していく子どもたち。コロナが明け、家族を巡る物語はまだまだ続いていきます。
(文:松岡)