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愛犬と、アンティークに囲まれて。

海外暮らしを経て、日本で20年。

住みやすい街としても人気、東京都内の閑静な住宅街に建つ一軒家。ここで暮らすMさんは、ご主人の転勤により、ハンガリー、アメリカと海外で生活をしたあと、日本へ帰国されました。ご子息はもうずいぶん前に成人して家を出られ、築20年ほど経つこちらの住宅では、現在ご夫婦二人でお住まいです。

お隣さんがお世話になったというリフォーム会社を紹介してもらい、約4年前にキッチンなど気になっていた水回りを新調されました。設計については、プランニングに建築士のデザイナーさんが付いてくれたそうですが、お部屋をみるなり「Mさんの家は、おもちゃ箱をひっくり返したようですね。」と言われたとか。その通り、リビングには海外暮らしを含め、これまでの人生で共にしてきた家具、雑貨、アンティーク小物などが彩り豊かに並び、わくわくする仕掛けがたくさん詰まっていました。

そんな家でいつも心がけていること、まだリフォームしたばかりの暮らしのこと、最近なによりもずっと一番に考えているという愛犬のことなど、様々なお話をお伺いしました。

リビングの家具は「オールドパイン」

海外暮らしをしているときに揃えた家具は、海を越えて時を経て、現在も現役。イギリスの古いお屋敷などを解体すると、家具や建材として長年使われていた質のよいパイン材を手に入れることができ、その古材を再利用したものが「オールドパイン」と呼ばれますが、Mさんはこの味わい深さが大好きだそう。

深みのある、あめ色。

つまみの周りに、年月の経過も。

引き出しの中には「ヘレンド」などの高級食器がずらり。

食器は一つ一つ、時間をかけて集めたもの。カップが数個あれば、抱き合わせにする仕舞いかたは、ハンガリーにいたころの友人に教えてもらったそう。「このかたまり感、お花みたいでかわいいでしょ?」

キッチンもパイン材のsu:ijiスイージー。

お気に入りを詰め込んだ家具に合うように、キッチンは同じ樹種の素材、パイン材(ニュージーパイン🄬)を選択。「色は経年変化を楽しみたいので、ナチュラル色一択でした。」

キッチンの向きは、“島”のような配置となる“アイランド型”にしたかったが、写真の右手前に見えている壁が、構造上どうしても動かせないものだったそうで、リフォーム前と向きは変わらず。

「アイアン取っ手と木。食器洗い機はミーレ。コーラー(シンク、水栓)は、選ぶつもりはなかったんだけど、なんか合いそうだな~、と。」
キッチンのスペックは機能よりも、どちらかというとかわいいかどうかを優先して、フィーリングで選んだそう。

高さ90cm。

あえてこだわったことといえば、キッチンの高さを90cmにしたこと。アメリカに住んでいたころに使っていたキッチンの高さに慣れてしまったそうで、ちょっと高いくらいのほうが、猫背にならず、調理がしやすいのだとか。(※日本のキッチンの標準的な高さは85cm。この高さ基準は身長から割り出されます。)

憧れのミーレ。

以前、食器洗い機は卓上のものをつかっていたが、リフォームを機に、“憧れだったミーレ”にしたそう。「ここも木にしてもらって、すごくかわいいの。」パネル部分は木製を選択。

ワークトップはタイル素材で。

「タイルは、たまに漂白をしていますが、もう汚くてもいいと思ってます。それも味かなぁ。」Mさんの家では、お掃除業者さんを年に1回呼んで、気になるところをきれいにしてもらっているそう。

かける収納。

キッチン周りは、ミルクパン、おたま、たわしなどの掃除道具もフックにかけて収納。吊戸棚のつまみにかけているのは、パプリカパウダーの袋。ハンガリー料理には、パプリカを粉にしたこれが欠かせないそう。

ハンガリー料理/トルトットカーポスタ (MさんのInstagramma_napokより)

キッチン後ろ側の収納庫も、同様にパイン材を選択。

引き出しには、ナイフやフォーク、カトラリーがぎっしり。

アンティークやヴィンテージのものが多く、形は1本ずつ揃っていないそう。前菜をとったり、オリーブをとったりと、それぞれ用途が異なります。「ギザギザがかわいいでしょ。切れなさそうだけど、かわいいから買っちゃった。」

これらのコレクションは、Instagramなどでみつけて、オンラインで買うことが多いそう。海外在住の娘さんもアンティークのものが大好きで、蚤の市などで集めたものを持ち帰ってくれて、Mさんのコレクションにしているとか。

下の引き出しにも、まだまだアンティークのお皿がずらり。

Instagramで出会ったお友達に、フランスから送ってもらったという「アルコパル」のミルクガラスは、3~4年前から集め始めたそう。「この収納庫は、たっぷり入るので気に入っています。」

吊り戸の上部に籠。

しっかりしていて、見た目にも存在感のある籠。インテリアの一部にもなるし、野菜を保存したり、メイクボックス、愛犬用品、お香、瓶などなどの〝収納”としても実用的。Mさんは、ラタンの皮を残したままの「アラログ」という素材が好きだそう。

※MさんのInstagramma_napokでは、日々の暮らしを発信されています。

海外を想像させる食卓、世界観がとても素敵です。
「凝ったものは作れませんが、愛用の食器や家具がいい感じにしてくれるんです。」

愛犬のミニチュアプードル「らむ」くんとはいつもこの距離感。

午前中にお料理教室やバレエなどお稽古事などに行き「午後はすべて彼に費やしています。」というMさん。ブラッシング、歯磨き、マッサージ、身体に傷ができてないかチェックするなどのケアが欠かせない。

らむくんは保護犬で、5か月の赤ちゃんの時に引き取って、現在8歳。

生活導線の変化。

こちらのご自宅は、3階建て。らむくんの成長とともに、抱えて上り下りするのがだんだん大変になってきたとか。一緒に暮らす家族の数も減って、不要な生活導線が多いのはずっと気になっているそう。

最近は家の住み替えも視野に。

お気に入りの家具と同じように、成長を眺めてきたキッチンと収納庫。ここに息づき、育っていく様子は、暮らしの楽しみの一つでもあったそう。「いつか近い将来、この家がもし誰かの手に渡ったとしても、このウッディーなキッチンが良い感じに育ってくれれば嬉しいなぁ。」

カードなどの小物雑貨も思い入れのあるものばかり。

Mさんの選ぶものは、東欧、ポーランド、ロシアのものが多いそう。「ごちゃごちゃのなかでも統一感を出す。とにかく自分の好きなものしか並べてないです。」

思い入れのある雑貨に囲まれて。

お話をしていると、終始とてもチャーミング、でもどこか凛とした佇まいのMさん。「お料理は習うのも好きだけど、いつか教えたいなぁ。スタジオを借りてやるのではなく、この雑多なインテリアに囲まれてやりたいの。」

好きなものがはっきりしていると、もの選びや暮らしかたに、ブレない基準が出てくるのかもしれません。これがまさに、“ていねいな暮らし”をする秘訣なのでは?と感じたのでした。

(文:松岡)


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