木・火・土・金・水…五行を感じて暮らす家
「家づくり」というプロジェクト
実現したかったのは、壁いっぱいの本棚、薪ストーブ、土間続きのリビングに、ヌックスペース…西日はカットしつつ日当たりの良さはゆずれない!
ご夫婦は、家づくりを始めるにあたって設計担当の前川さんにPowerPointでプレゼンを行ったとか。
その溢れる情熱をしっかりと受け止めてできあがったのは、キューブが組みあがったようなリズミカルで魅力的な空間。大きな屋根の下の開放的な空間ですが、空気の流れを整え、快適な温熱環境となるよう緻密に設計されています。
「キューブが柱や梁に貫かれて宙に浮いている」ように見える不思議で楽しい眺め。
巾6mもの大開口には6枚建てのビル用ガラス戸を組み込んでいる。鉄骨の梁(木造の梁よりも細い)を用い、上部にも窓を設けたことで、視線が抜け、より広がりを感じさせる。
この大開口がもたらす開放感が、リビング-土間-庭とつながり、生活が土地に溶け込むおおらかさを作り出している。
階段を上がると、一面の本棚(子供たちにとってはアスレチック)。
中二階の本棚は、家族それぞれのお気に入りをディスプレイ。好きなものを共有することで毎日の会話が弾む。
「ひまわり」の模写は、なんと奥さまが小学生の時の作品!
奥の階段をもう少し進むと、スタディスペース。娘さんが宿題をする、いつもの風景。 トップライトから光がたっぷりと差し込む明るい空間になっている。
スタディスペースからちょこっと顔を出して、下にいる家族と話すこともできる。
スタディスペースの奥には、奥さまたってのご希望だった“ヌックスペース”。「コーヒーが置けるように」との希望も、配管スペースを利用して奥行を出した、小さな窓辺でかなえられた。
※ヌック(nook)…元々は「人目に付かない場所、部屋の隅」という意味があり、今は「こじんまりとした居心地の良い空間」を指して使われるように。
小窓で切り取られた風景は、一枚の絵のよう。
キッチン前の大きな窓は、奥さまのご希望。窓の外の家庭菜園を見ながら料理ができる。「そろそろトマトが収穫できそう」
インダストリアルな雰囲気と無垢のオーク材の質感がこの家にピッタリだと選んだ、ウッドワンのキッチン。手入れがしやすいところも奥さまのお気に入り。
収納は、利用頻度と取り出しやすさを考えて、オープン収納と引き出しの組み合わせに。
薪ストーブの季節。パチパチと爆ぜる音と美しく燃える火の揺らぎの前で過ごす時間は、ご主人の至福のひととき。
床にはみんなで塗ったペンキの跡が、家族の記憶をとどめている。
(文:松浦)