自然素材が持つ温かみに、清々しい空気も広がる、ホンモノの木のある空間。そこに寄り添うように漂うのは、心がほっとほどけるような、自然豊かなハーブとアロマの香りです。

今回の“木と人をつなぐマガジン”では、原宿・表参道発の老舗ライフスタイルカンパニー、株式会社生活の木さんを訪ねました。
緑豊かな都心のオアシス、本社ビル最上階に佇むオフィススタジオにて、アロマスプレー作りのワークショップも体験させていただきました。理科の実験さながらにビーカーを覗き込み、楽しい笑い声も響く中、お話は次第に「住まいと香りの心地よい関係」へ。

視覚的なインテリアの美しさだけでなく、五感すべてでリラックスできる家とはどのようなものでしょうか。効率が求められる現代だからこそ大切にしたい“暮らしの手間と豊かさ”について、じっくりとお話を伺いました。
![左から開発営業本部 深澤寛生さんMY AROMA[ジュニパー]伊東周平さんMY AROMA[ネロリ]](https://woodone.jp/wp-content/uploads/2026/08/260803_woodone_ki-mama_aroma-22.jpg)
※MY AROMA(マイアロマ):スタッフや社員の方々がそれぞれのライフスタイルに寄り添うお気に入り、“推し”の香りを「マイアロマ」として選定されています。
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- 暮らしにアロマが必要な理由。記憶に残り、オン・オフを切り替える香りの役割
- 理科の実験のように楽しむ。ワークショップで体感する「手間の豊かさ」
- 国産「桧(ひのき)」がやっぱりアツい。年輪とともに濃くなる香りの成分と、これからの自然との付き合い方
- メンバー3人が本音で紹介。暮らしのお悩みを解決する「生活の木」リアルな愛用品
- 効率重視の時代だからこそ。心と体をいたわる「とまり木」のような時間を暮らしに
暮らしにアロマが必要な理由。記憶に残り、オン・オフを切り替える香りの役割
―今回のワークショップを通じて、空間に香りが加わることで部屋の印象もガラリと変わるのを肌で感じました。住まいにおける「香り」の役割について、みなさんどのようにお考えですか?
生活の木・深澤(以下、深澤さん):インテリアを選ぶときって、どうしても家具のデザインや色といった「視覚」が中心になりますよね。でも実は、空間に入ったときの印象や後々の記憶に最も強く残るのは「嗅覚」、つまり香りなんです。香りは五感の中でも脳の記憶をつかさどる神経に直接届くので、私たちは香りのことを「空間を完成させる最後のピース」と呼んでいます。
―「最後のピース」素敵な表現ですね。家を建てたりリフォームしたりと、お家づくりには、間取りやインテリアのゾーニングを考えますが、香りも場所ごとに使い分けるとよいのでしょうか?

生活の木・伊東(以下、伊東さん):おっしゃる通りで、過ごす場所や生活のシーンに合わせて香りをゾーニングするのがおすすめです。例えば、リビングやダイニングは家族が集まってご飯を食べる場所ですから、料理の邪魔をしないニュートラルな香りや、すっきりしたシトラス・ミント系が馴染みやすいですね。一方で、寝室であればベルガモットなど一日の疲れを癒してリラックスできるような香りを置くなど、オンとオフを切り替えるスイッチとして活用できます。


伊東さん:そうした、暮らしの中でのアロマの使い方をもっと知っていただきたくて、実はアロマに全く触れたことがない初心者の方向けに、間取りや使用シーンに合わせたおすすめを紹介するリーフレットを作ったばかりなんです。リビングや寝室だけでなく、水回りのニオイ対策や、さらにはトイレットペーパーの芯に少し香りを忍ばせる方法まで幅広く提案しています。
―トイレットペーパーにまで!毎日の何気ない瞬間がちょっと嬉しくなりますね。
深澤さん:そうなんです。ただ「不快なニオイのケア」だけではなく、「心地よい香りでプラスの空間にしていく」。そんなふうに、住まいの中でアロマやハーブに触れる方が増えていったら嬉しいなと思いながら、動画などのコンテンツ発信も行っています。
理科の実験のように楽しむ。ワークショップで体感する「手間の豊かさ」

―先ほどのワークショップ、ガラスのビーカーにエッセンシャルオイルをぽたぽたと落としていく作業が、まるで理科の実験のようで夢中になってしまいました。
深澤さん:楽しんでいただけてよかったです!私たちのエッセンシャルオイルのボトルは、斜めに傾けるとちょうど一滴ずつぴとぴとと落ちる仕組みになっているんですよ。最後はワインのボトルのように「くいっ」と手首をひねるのが、綺麗に止めるコツです。
伊東さん:ビーカーや目盛りを見ながらエタノールや精製水を測って混ぜる作業など、大人になっても新鮮でワクワクしますよね(笑)。
深澤さん:時間が経つと分離してしまうので「よーく混ぜてくださいね!」なんて言いながら。でも、このワークショップの面白さは、作ったその場だけではないんです。アロマって、ブレンドした直後はそれぞれの精油の個性が強く主張し合っているんですが、時間が経つにつれて徐々に馴染んでいくんですよ。
伊東さん:そうそう、角がとれて、まるく、深く変化していく。これもまさにワインが熟成していくようなイメージです。防腐剤が入っていないので1ヶ月ほどで使い切っていただく必要がありますが、日々香りが育っていく変化を楽しめるのも手作りならではですね。
―今はボタン一つで何でも自動で済む効率的な時代ですが、あえて自分の手でオイルをたらし、混ぜ合わせるという「手間」そのものが、すごく贅沢な時間に感じられました。
深澤さん:本当にその通りだと思います。現代はスピードや効率ばかりが重視されがちですが、だからこそ「少し手間をかけて香りを広げる時間」や「自分のために心地よい空間を整える時間」が、自分自身をいたわる豊かなひとときとして求められているのではないでしょうか。
厳選素材を使用、英国発祥の伝統的なドリンク「ハーブコーディアル」もいただきました。
(お酒と割ったり、冷凍フルーツ、ミントをちぎって入れて飲むのもおすすめなのだとか)
国産「檜(ひのき)」がやっぱりアツい。年輪とともに濃くなる香りの成分と、これからの自然との付き合い方
―ウッドワンは木を育てている木質建材メーカーとして、日本の森林資源の活用にも着目しています。生活の木さんも日本の木を使ったアロマを取り扱われていると聞きました。
生活の木・太田(以下、太田さん):はい、今まさに国産の精油のなかでも「ひのき」がものすごくアツいです。以前は台湾産のひのきが今以上に流通していましたし、ここからすぐの明治神宮の大鳥居も台湾ひのきでつくられているのも有名です。ですが、現在は伐採制限などの背景もあり、供給が安定していて香りも素晴らしい日本のひのきが国内外で非常に高く評価されています。海外からの旅行者の方も、ひのきの精油をたくさん買っていかれるんですよ。

MY AROMA:ネロリ
―日本のひのきは歴史的にも建築に使用されている印象はありますが、“アロマ”としての魅力はどこにあるのでしょうか。
太田さん:私たちはいくつかの産地の中でも、三重県産のひのきから精油を生産しています。三重を選んだ理由は、とにかく「THE・ひのき」と言いたくなるような、圧倒的に豊かで芯のある良い香りがするからです。三重の海沿いの地域で育つひのきは、厳しい自然環境ゆえに大きくなるまでに長い時間がかかります。その分、年輪がぎゅっと詰まり、香りの成分も驚くほど濃くなっていくんです。
―育つ環境の厳しさが、香りの濃さや深さに繋がっているのですね。非常に感慨深いお話です。
太田さん:じっくり時間をかけて養分を蓄えられた三重のひのきは、化粧品成分として扱うときにも粘度が高すぎず、非常に優秀な品質を持っています。こうした日本ならではの天然の恵みを享受してモノづくりをしているからこそ、私たちは自然へのリスペクトを忘れてはいけないと思っています。国内外の契約農家さん(パートナーファーム)と適正な価格で長期的な関係を築くだけでなく、最近ではパッケージの環境配慮や、一部の規格外ハーブをスタッフのユニホームの染料としてアップサイクルする「もったいないチャレンジ」といった循環の取り組みにも力を入れています。

規格外のハーブがショップスタッフのユニフォームに。
メンバー3人が本音で紹介。暮らしのお悩みを解決する「生活の木」リアルな愛用品

―自然への誠実な想いから数々の名品が生まれているのですね。ここでぜひ、みなさんが暮らしの中でリアルに愛用するおすすめアイテムを教えていただけますか?
太田さん:僕は本気で悩みを解決してくれた「シューズ用の消臭アロマ(パウダータイプ)」を大プッシュします! 実は僕、すごく足に汗をかきやすくて蒸れに悩んでいたんです。でもこのパウダーを靴の中にサラサラッと入れておくだけで、嘘みたいに一日中快適になります。先ほどお話ししたひのきの成分も入っていて、足のニオイとケンカすることなく自然にケアできるので、夏は特に手放せません。
伊東さん:これ、本当に優秀ですよね。僕も愛用しています。液体ミストだと革靴には使いにくい場面もありますが、パウダーならどんな素材の靴でも傷めずに使えるので、ビジネスマンの方にも実感しやすい名品だと思います。

―リアルな太鼓判、とても参考になりますね。伊東さんのお気に入りは何ですか?
伊東さん:僕は「薬草湯」という入浴剤です。生活の木といえば西洋のハーブやアロマのイメージが強いと思いますが、これは生薬や和漢といった伝統的な素材と西洋のハーブを掛け合わせ、「医薬部外品」として効果効能をしっかり認可されたアイテムなんです。夏場こそしっかりお風呂に浸かって発汗し、一日の疲れをリセットするのに最適です。ちょっとサムゲタンのような本格的な薬膳スープっぽい香りがするのですが(笑)週末や週の初めにこれに入ると、驚くほど体が軽くなりますよ。

深澤さん:私はママ目線にもなってしまうのですが、「天然消臭アロマミスト」のライムの香りを家中でシュシュッと使い倒していますね。子どもがまだ小さかった頃はおむつのゴミ箱のニオイケアに大活躍しましたし、植物由来の安心な成分なので、ベビーカーやリビングのカーテンにも気軽に吹きかけられます。一瞬で空間が爽やかな空気感に変わるんです。
―日々のちょっとしたストレスをアロマが優しく解決してくれるのですね。
深澤さん:あと、暮らしのヘルスケアという意味では「マヌカハニー」も欠かせません。生活の木は、ニュージーランド北島で、生産者・養蜂家さんに大切に育てられたものを直輸入しています。そこで採れるマヌカハニーはとにかくクリーミーさが自慢なんです。「ちょっと体調が優れないな、風邪をひきそうだな」という時に、スプーンでダイレクトにひと舐めするのが我が家の定番です。社内販売のタイミングを狙ってスタッフがこぞって買い求めるくらい、社内でも愛用者が多いんですよ。

太田さん:あ、あと広報担当としてこれは推させてください(笑) 昨年発売したばかりなのですが、原宿表参道店限定のブレンドアロマです。原宿が本店であり、フラッグシップ店ということもあって特別に企画してつくったんです。
上質な華やかさをもつ高級なネロリも入れつつ、先ほどお話ししたひのきも入れて和っぽさも感じる特別なブレンドです。

この場所がもともとは陶器屋さんだったということもあって「金継ぎ(きんつぎ)」をイメージしたパッケージデザインになっています。実はこの継ぎ目が原宿のマップになっているんですよ。
―おもしろいですね!
効率重視の時代だからこそ。心と体をいたわる「とまり木」のような時間を暮らしに
―お話を伺っていると、みなさんが心から自社の商品を愛し、それぞれのライフスタイルの中でアロマやハーブを楽しんでいることがすごく伝わってきます。
深澤さん:私たちの会社の「生活の木」という名前は、聖書に登場する『生命の木(Tree of Life)』に由来しています。自然の摂理を大切にしながら、「自然・健康・楽しさ」を人々の暮らしに根付かせたいという願いが込められているんです。これまでも、そしてこれからの未来も、私たちは赤ちゃんからおじいちゃんまで、すべての人の幅広い生活シーンに寄り添う存在でありたいと思っています。日常に疲れたとき、ふっと羽を休めに帰ってこられる、街や住まいの「とまり木」のような場所になれたらいいですね。
太田さん:効率を追い求める忙しい毎日だからこそ、私たちは製品やワークショップ、発信を通じて、「もっと肩の力を抜いて、リラックスしていいんだよ」というメッセージを届けていきたいです。
―いいですね。
ウッドワンが目指す「木のぬくもりにあふれた心地よい住まい」も、まさに住まう人が一番自然体でリラックスできる場所であってほしいという想いから。本物の木が持つ豊かな風合いと、生活の木さんが提案する本物の自然の香りが重なり合うことで、暮らしはもっと豊かで愛おしいものになりそうです。
<取材協力>
