木材って、本当はどんな材料なのだろう。どんな魅力があるのだろう。「木と住む知恵」のシリーズでは、知っているようで知らない、「木」にまつわるあれこれについてお話ししたいと思います。
“見た目”だけじゃない、曲げわっぱ弁当
昔ながらの木のお弁当箱「曲げわっぱ」。詰めるだけでお弁当がおいしそうに見える”見た目”だけでなく、時間が経ってもご飯やおかずがふっくらとおいしさを保てる”機能性”もあります。その”機能性”の秘密は、木がご飯やおかずの湿気をちょうど良く調節してくれているから。今回は、木が持つ「調湿作用」とはどのようなものなのか、実験をして確かめてみました。
無垢の木の板とシートの板は、ほんとに違う?
本物の木と、木の模様をプリントしてあるシートを貼りつけた板。どちらも見た目は「木」ですが、その調湿性はどう違うのでしょうか?
用意したのは、部屋を模した模型。
左の部屋には無垢の自然塗装仕上げの板を、右の部屋にはシート貼り仕上げの板を入れています。
ここにお湯を入れたグラスを入れ、2つの部屋の湿度の変化を見ていきます。
実験開始前の気温と湿度は、どちらも同じで、気温26℃・湿度55%です。
実験スタートから2分もすると、どちらの部屋も湿気で曇りはじめてきました。
15分後。
どちらも気温30℃・湿度80%近くまで上がりました。
ここからなかなか変化が見られず、スタッフ一同、調湿作用の差は目に見えては出てこないのかな??と一抹の不安を覚えます。
ですが、40分後。あるスタッフが部屋の側面の変化を発見。無垢の方だけ奥側から曇りが取れてきたのです。シートの方は曇ったままです。
そして、1時間後。
左側の無垢の部屋は、正面部分もだんだん曇りがとれてきました。
無垢の方は湿度80%を維持、シートの方は湿度85%を超えています。
1時間45分後。
すっかり無垢の部屋の曇りが取れました。こんなにしっかりと湿気を吸ってくれるんだとびっくりするほどです。
さらに、無垢の方の湿度は75%まで下がりました。シートの方は85%を超えたままです。
2時間20分を超えたところで実験終了しました。
無垢の方は、なんと湿度65%まで下がりました。
なぜ、無垢の木は湿度を調整してくれるの?
では、どうやって無垢の木は湿度を調整しているのでしょうか。
木材は、細胞という小さな部屋がたくさん集まってできています。湿度調整のはたらきをしているのは、実はこの部屋の「壁」のほう。この壁(細胞壁)の中には、目には見えないごくわずかな隙間があり、そこで湿気を取り込んだり、逃がしたりすることで、まわりの湿度を一定に保とうとしてくれるのです。
人がもっとも快適に過ごせる湿度は60%前後と言われています。木の家に入るとなんだか気持ちいい・・・。それは家族みんなが快適に過ごせるよう、木が湿度を調整して家そのものを守ってくれているからかもしれません。
無垢の木の調湿作用について、詳しくはこちら。
そんな木の調湿作用は、米びつとしても大活躍です。
桐箱から生まれた、新しい米びつ
今回の実験を動画でもまとめています。曇りがとれていく変化がとてもおもしろいのでこちらもぜひご覧ください。