緑のなかで過ごすと、リラックスできたり、元気がでたり、食べ物がおいしく感じたり。そんな力をもつ緑の空間は、あなたの家の近くにもきっとあるはずです。「緑を感じる場所」のシリーズでは、緑を感じられるスポットやイベントをご紹介していきたいと思います。
緑を、シェアする
東京、青山というトレンドの発信地に、2018年10月、新しいスタイルの公園が完成しました。芝生の広場を囲むように、カフェやショップ、オフィス、テラスなどがあるこの場所。みんなで緑を分かちあえる場になるようにSHARE GREEN MINAMI AOYAMA(シェアグリーン南青山)と名付けられました。
これまでにない、新しいかたちの公園へ
SHARE GREEN MINAMI AOYAMAができる前、ここは長いあいだ倉庫や駐車場として使われていました。「せっかくの広い土地なのにもったいない。もっと地域のためになる使い方をしよう」と、土地のオーナーであるNTT都市開発主導で新しい空間づくりが始まりました。この辺りは、都立公園や青山霊園が近くにあるおかげで、青山という都会の真ん中であるにも関わらず緑豊かな場所。その良さを生かして、「緑を地域にひらく空間」に生まれ変わらせることになりました。
空間のコンセプトは「Park Lifestyle」。みんなが自由に集える公園のようでありながら、これまでとは違う「新しい公園」を目指しました。たとえば、パパやママが子どもに付き合って行くのではなく、自分たちも楽しく過ごせる場所。遠くからも人が来てくれて、地域に賑わいをもたらす空間。そんなイメージで、倉庫をカフェとショップへ、空き地を芝生の広場へと生まれ変わらせました。
同じ敷地にあって、もともとグループ会社が入居していた建物もフルリノベーション。「緑のなかで働く」をコンセプトにしたシェアオフィスへと生まれ変わりました。
つくって終わりにしない。魅力的な空間であり続けるための挑戦
口コミやSNSの拡散で広まり、小さなお子さんを連れた近隣の方から、「映え」スポットで写真を撮っていく遠方から来た人まで、毎日多くの人で賑わっているSHARE GREEN MINAMI AOYAMA。
「ここは、言ってみれば、広場の他にはカフェとグリーンのお店があるだけです。でもだからこそ、こんなぜいたくな緑の空間は他にないと、多くの人が来てくださっているのだと思います。」と、NTT都市開発の宗さん。そんな緑のちからを感じるからこそ、強く思うことがあるのだと言います。それは、「ちゃんと自給自足すること。」実は、公園や緑地は、管理に費用がかかるにも関わらず費用をまかなう方法がなく、管理する側にとっては負担になることが多いそう。「でも、公園が魅力的であり続けるためにはそれを変えないといけないんです。」
SHARE GREEN MINAMI AOYAMAでは、イベントスペースの貸出を行っています。そのような収入があるからこそ、きれいで安全な状態を保っていられるし、地域のためのイベントを開催することもできるのですね。
地元の人のための「おしゃれな公民館」を目指して
この辺りは、昔から戸建てが多く、高齢の方が多く住むエリア。地元の方も集える場になるよう、新たな活動も考えているそうです。「毎週集まっておけいこや趣味を楽しんでもらえる機会を提供したいです。“SHARE GREEN CLUB” みたいな。あとは、ほかの緑地とコラボできたらおもしろいですし、こことまわりの緑地との間で人の流れをつくれたらもっとこの空間が生きると思っています。」
実は、SHARE GREEN MINAMI AOYAMAは、次の開発に向けた実験的な要素もあるのだそう。緑の空間そのものに価値があるとあらためて確認できた今、ここのコンセプトを引き継ぎ、地域にひらかれた緑が主役の空間をつくりたいと話してくれました。
未来の公園のあり方を変える可能性を秘めたSHARE GREEN MINAMI AOYAMA。おしゃれなだけではない、緑の価値を見つめなおそうとしているこの空間に、行ってみてはいかがでしょうか?
<取材協力>
SHARE GREEN MINAMI AOYAMA
※内容は取材当時(2019年7月)のものです