Ki-Mama

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2019.05.20

家族で行ける、木とつながるカフェ #04

【大阪編】子育てをしながら営む大正区の小さなカフェ―ヒミツキッチン―

木のある空間に入って心地よい香りを吸いこむこと、古材のテーブルにふれてその凹凸を感じること、一つひとつ違う木目の味わいを楽しむこと…。生活のなかで、本物の木にふれる機会が減っている今だからこそ、子どもたちにもそんな体験をして欲しい。「家族で行ける、木とつながるカフェ」のシリーズでは、木のある空間で、子どもと一緒に食事を楽しめるお店をご紹介します。

家みたいな長屋カフェ

ローテーブルにカーペット、自由に遊べるおもちゃ。「家みたい」にくつろげるお店でいただけるのは、元ホテルシェフのご主人が作る本格料理。そんなギャップも魅力的な、大阪市・大正駅近くの路地裏にある「ヒミツキッチン」。子どももママたちも思わず長居してしまう居心地の良いお店です。

 

ヒミツキッチン看板
通りから見えるのは、この控えめな看板だけ。ものすごく見つけづらい、まさに”秘密基地”。

通りから見えるのは、うっかりすると見落としてしまいそうな控えめな看板だけ。看板の横の細い通路を入ったところにヒミツキッチンはあります。

大阪の長屋カフェ、ヒミツキッチンの入り口
看板を曲がると昔ながらの長屋が。そのうちの一軒がヒミツキッチン。

家の玄関のような引き戸をあけて、靴を脱ぐ。「本当にここで合っているのかな…」とドキドキしながら階段をのぼると、キッチン担当のご主人と接客担当の奥さま、そしてかわいい子どもたちが迎えてくれます。

“マホガニー”のような長屋との出会いで、夢が現実に

「ヒミツキッチン」は、長屋をご夫婦の力でリノベーションしたお店。「柱や梁が自然とマホガニーみたいな色になっているのがたまらなくて。歴史が刻みこまれているでしょう?」と語られるご主人はもともと古いものがお好きで、過去には築100年のゲストハウスや文化住宅に住んでいたこともあるとか。知人の紹介がきっかけで出会ったというこの長屋に一期一会のご縁を感じられていました。

長屋の大家さんが、お店を開きたいと話すおふたりを応援してくれたことも励みとなり「こんな良いところ他に見つかるか分からないし、DIYなら費用の面も何とかなりそう」と、夫婦で改装することに決めました。

 

ヒミツキッチン内観(ロフト)
屋根裏の天井を抜いてみたら、梁が出てきて思いがけず良い感じだったので、ロフトにすることに。
ヒミツキッチンの内観
街の人や家族と協力してリノベーション。テーブルやカウンターはご主人の手作り。

手に入れたオフィステーブルがお店の雰囲気に合わないからと、工事で余った木の板をテーブルの天板に貼ったり。端材をオブジェのように壁に貼ったり。ご主人のアイデアもあいまって、古い建物の味わいとセルフリノベーションのあたたかさがマッチした空間に生まれ変わりました。

足場板と吊ボルトで作ったキッチンの棚は、業者さんがレンジフードを取り付ける様子を見て浮かんだアイデア。「これ、かなり丈夫なんですよ。見よう見まねで作ったんですけど、良い感じでしょう?」

お店づくりは、街の人との関係づくり

ヒミツキッチンは、たくさんの街の人と繋がっています。改装の時に工事をお願いした大正区内の業者さんは、今でも友達をつれて来てくれて「あの時はここが大変だった」「あれは俺が作った」と楽しそうに話していかれるそう。お店を支え続けてくれる、ありがたいお客さんです。

床には、区内の材木店から仕入れた足場板を使用している。改装のときには、材料の手配も工事もすべて大正区内の業者さんにお願いした。

まわりのお店と一緒に地域を元気にしていきたいという思いで、食材もなるべく大正区のお店から仕入れています。実は、カードスタンドに置いてあるショップカードも大正区内のお店限定。いつも支えてくれている方たちへのお礼の気持ちです。

カードスタンドは友人が手作りしてプレゼントしてくれたもの。

人に料理をふるまうのが大好きで「お客さんの顔がみえるお店をしたい」とかねてから思っていたご主人。そして、かつて街づくりの仕事をしていたこともあり、大正区を愛している奥さま。おふたりだからこそ生まれるあたたかさが、ヒミツキッチンの心地よさの秘密なのかもしれません。

下町の小さなお店でいただくホテル級の料理

ホテルや料亭で修業を積んだご主人。自分の子どもに作る離乳食も出汁から取って作っていたほど、美味しいものを食べてもらうために手間を惜しみません。美味しいうえに、一皿でおなかいっぱいになる量なのも嬉しいところ。「料理が苦手な一人暮らしの人って、ちゃんとご飯食べなかったりするじゃないですか。そういう人にも、栄養のあるものをおなかいっぱい食べてほしいなと。」

お肉の味が濃いステーキは、フライドガーリックと一緒に食べるとたまらない。ランチにはご飯とサラダが付いて、ちょっとお得。
ヒミツキッチンのお子さまメニュー
栄養たっぷりの「キッズプレート」。手作りのドレッシングが美味しいサラダは、子どもも喜んで食べてくれそう。
ヒミツキッチンのフード
ふわふわのピザ生地は、大正区のパン屋さんに“ヒミツキッチン仕様“で作ってもらっている。
友人のカフェから材料を仕入れている「酵素ジュース」。優しい酸味と微炭酸、果物の甘味が絶妙。

子育てをしながら働くというチャレンジ

「1階が自宅で2階がお店というかたちをとってはいますが、私たちにとってお店は自宅同然なんです。家族のごはんは毎食お店のキッチンで作っていますし、朝ごはんはお店のテーブルで食べています」

ヒミツキッチン内観

もともとは、大人のための隠れ家レストランをイメージしていたご夫婦。夜、息子さんが過ごせる場所が必要だと、カーペットを敷いておもちゃを用意していました。子連れの方が来たとき、「息子のおもちゃでよければどうぞ」と使ってもらっていたところ、口コミで広がっていき、今では子連れの方が多く来てくれるようになりました。

ロフトにはハンモックや絵本も。ここはおむつ替えにも使わせてもらえる。

お店のオープンから2年経ち、息子さんは大きくなりましたが、保育園は利用しないことに。お店へ自由に出入りして、お客さんに遊んでもらったり、お話したり、お店を通じて社会勉強をしています。

ご夫婦にとってそれは、試行錯誤しながらのチャレンジ。「初めはやっぱり不安だったんです。でも、私たちのスタイルを応援してくれる方が多くて。本当にありがたいと思っています。」

息子さんはお店と家とを区別できていないようで、お客さんに「またぼくのおうちにあそびにきてね!」と声をかける。

長屋の持つ味わいと、手づくり感のあたたかさ、そして、ご家族の優しさが「家みたい」な空気感を生む、ヒミツキッチン。子育ての息抜きに、お子さんと遊びに行ってみてはいかがでしょうか?

〈取材協力〉

CAFE&RESTAURANT ヒミツキッチン
https://www.instagram.com/himitsukitchen/

「ヒミツキッチン」のチャイルドケア情報

  • キッズスペースあり
  •  お子さまメニューあり
  •  座敷でご飯が食べられる
  •  おもちゃで自由に遊べる(大人が遊べるおもちゃも!)
※内容は取材当時(2019年2月)のものです