木のある空間に入って心地よい香りを吸いこむこと、古材のテーブルにふれてその凹凸を感じること、一つひとつ違う木目の味わいを楽しむこと…。生活のなかで、本物の木にふれる機会が減っている今だからこそ、子どもたちにもそんな体験をして欲しい。「家族で行ける、木とつながるカフェ」のシリーズでは、木のある空間で、子どもと一緒に食事を楽しめるお店をご紹介します。
顔の見えるオーガニックを、コミュニティテーブルで囲んで
“コミュニティテーブル”と呼ばれる食卓に並ぶ、契約農家のオーガニック野菜やナチュラルポークを使った料理。
東京・神田にあるこのお店の名前は「SUSTAINABLE KITCHEN ROSY(サスティナブルキッチン ロージー)」。子どもにはなるべくからだに良くて安心なものを、というママやパパにうれしい、顔の見えるオーガニック食材をふんだんに使っているお店です。
暮らしのすべてが地球からの贈りもの
オーナーの森さんは、着ている服も、口に入れるものも、どこから来たものなのか分かるということをとても大切にされています。「お母さんが作ってくれたおにぎりには、安心感と特別なおいしさがあるでしょう?誰にとっても安心でおいしい料理を作るために、作り手がわかる食材を丁寧に選んでいます」
食材だけではありません。リネンはオーガニックコットンを、鍋やフライパンは有害物質を出さないブランドのものを使用しています。わたしたちの衣食住はすべて地球からできているもの。そう考えると、少しでも環境に良いものを使いたいし、地球にやさしい暮らしをしたい、と思えますね。
森さんが食材や道具を丁寧に選ぶのは、世界を旅するなかで出会ったポートランドの街の精神に感銘を受けたから。全米で最も環境にやさしい街だといわれているポートランド。街全体に、サスティナビリティやトレーサビリティを大切にする考えが浸透しています。そして、ローカルなものを選ぶことが“クール”。ファーマーズマーケットがあちこちで開催されていて、地域の生産者を応援し、選ぶ、ということが日々の暮らしのなかで実現しているのです。そして、自然との距離が近く、DIYが盛んな街でもあります。
地域の職人の腕が光る
築60年の古民家を、スタッフやボランティアの方と協力してリノベーションしたというお店。古いものを捨てたり壊したりするのではなく、新しい価値を見出して使い続ける。森さんらしいお店づくりです。
お店のある地域は、江戸時代から続く職人の街。繋がりのある方々が作ったものを使いたいと、正面ガラスの格子や入口ドアの手すりは鉄の職人に、床や壁は木の職人にお願いしました。
テーブルやイスは2人の職人による合作で、鉄と木を組み合わせたデザイン。天然のテーブルクロスとなって料理をおいしく見せてくれる杉のテーブルに、とても満足しているそうです。杉は柔らかい木なので、「小さな子どもにも優しいという点でも良い材料ですね」と話してくれました。
木のコミュニティテーブルで、人と人とをつなぐ
ROSYがもうひとつ大切にしていること。それは、人と人とのつながり。大皿料理をシェアして食べるスタイルには、みんなで集まって食事を楽しんでほしいという想いが込められているのですね。
皆でひとつのテーブルを囲んで料理をシェアすることは、食事の時間をシェアするということ。「一緒に来た家族や友人とだけではなく、一人で来てもそれができる場所でありたい」と森さんは話します。
地域や人のつながりが生まれるようにと願いを込めて作った“コミュニティテーブル”。「このコミュニティテーブルに街の人たちが集まって、楽しく食事をする。そんな場所でありたいと思っています」
SUSTAINABLE KITCHEN ROSYのフード&ドリンク
契約農家の野菜をたっぷり使ったサラダ。国産の麦やヌカを食べて育ったニワトリが産む「自然卵」で作ったプリン。果実を絞ったままのストレートジュース。
人と自然をやさしくつなぐROSYの料理を、まずは子どもと一緒に食べてみませんか?
〈取材協力〉
「SUSTAINABLE KITCHEN ROSY」のチャイルドケア情報
- キッズチェアあり
- 子ども用カトラリーあり