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Lifestyle

2026.02.09

木ままびと。 #02

朝の光に、家族の一日が重なる場所

朝のやわらかな光が、メープルの天板にすっと差し込む時間。

カップボードの前に立つと、今日も一日が始まるのだと、自然と気持ちが整います。

鉄瓶で沸かした白湯が、ことん、と静かな音を立ててマグカップに注がれる。
その静けさの中に、これから始まる家族の一日が、そっと重なっていきます。

はじめまして。Saeと申します。

昔からの古い街並みと少しずつ建て替わっていく新しい家が入り混じり、変化しながらもどこか懐かしさを感じるような街。そんな街で夫と高校生の娘、そして2匹のわんこと一緒に暮らしています。

花やグリーンを飾ること、季節の気配を家の中に取り込むことが好きで、気づけばそれが私の暮らしの軸になっていました。

高校時代を過ごしたアメリカで出会った、框組みのキッチン。

直線的でありながら、どこか人の温度を感じさせるその佇まいに心を奪われ、「いつか、こんなキッチンのある家で暮らしたい」と思った記憶は、20年以上経った今もはっきりと残っています。

そのとき芽生えた憧れは、長い時間をかけて形を持ち、今の住まいへと繋がっています。

我が家のダイニングを印象づけているのが、長さのあるスイージーのカップボードです。

カップボードは、私にとって単なる食器収納ではありません。

この家で流れる時間や、家族の気配を受け止める大切な存在になっています。
横に長く伸びることで、空間に自然な広がりが生まれます。
視線が途切れず、ダイニング全体がゆったりと感じられる。

器を並べても、花を飾っても、どこかに余白が残るのは、この「長さ」があるからかもしれません。

木のあたたかみを感じるその佇まいは、朝の光にも、夜の照明にもよく似合います。

慌ただしい日であっても、引き出しを開け、器を手に取るその一瞬で、気持ちがすっと落ち着く。

木という素材が持つ力を、日々の暮らしの中で実感しています。

我が家は、キッチンとカップボードを敢えて同じメーカーで揃えていません。

どちらも框のデザインですが、キッチンは、どうしても譲れなかった機能面を優先して、別メーカーを選びました。

一般的には、キッチンとカップボードは同じメーカーで揃える方が多いのかもしれません。
けれど、私にとってカップボードは、「大切な記憶」と結びつく存在だったのです。

高校時代を過ごしたアメリカで見た、あのキッチンの風景。
木のぬくもりに包まれた、どこかあたたかく、人の気配を感じる場所。
その記憶を今の暮らしに重ねたとき、しっくりときたのが、ウッドワンの「スイージー」でした。

同じ「框」ではありますが、キッチンとカップボードから受ける印象は、どこか少し違います。
特にウッドワンの框組(かまちぐみ)は、縦横の無垢材を組み上げた枠(框)の中に、「鏡板(かがみいた)」をはめ込むという伝統的な木の組み方で作られているそうです。

そのような違いがあるからこそ、空間に奥行きが生まれ、それぞれが自分の役割を持って佇んでいるように感じられるのかもしれません。

すべてをきれいに統一するのではなく、ほんの少しだけ違いを持たせる。
その選択は、我が家の家づくりにとって正解だったと感じています。

探さない、迷わない収納

収納についても、このカップボードは私の暮らしを大きく変えてくれました。

器は、使う頻度や種類ごとに定位置を決めています。
毎日使うものは、迷わず手に取れる場所に。
「どこに何があるか分かっている」
それだけで、家事は驚くほど穏やかになります。

探さない、迷わない。

収納は、心穏やかな暮らしを支えるための仕組みなのだと感じています。

そしてもう1つ、私がカップボードの収納で心掛けていること。それは、それぞれの引き出しを開けた時に、自分が好きだと感じられる光景を作るということです。

フラワーベースを収めている引き出しもありますが、収納する時にちょっとアーティフィシャルのグリーンを入れておけば、開けた時にふっと目に入って心が癒される。

カトラリーや箸置きの入った引き出し、食器が並んだ引き出しも1つ1つが私にとっては宝箱。そんなことを意識すると収納も楽しくなる気がしています。

カップボードの上には、花やグリーンを飾ります。
小さな花を一輪だけ置く日もあれば、枝ものを豪快に飾ることもあります。

木や花々の背景があることで、ダイニングに季節の空気が流れ込んでくるように感じます。

夕方になると、ダイニングの表情が少しずつ変わっていきます。
そのうち娘が学校から帰ってきて、制服のまま椅子に腰掛け、今日あった出来事を話し始める。

足元では、わんこたちがそれぞれお気に入りの場所でくつろいでいます。
夫も帰ってきて、2匹をわしゃわしゃと撫でながら何気ない会話を重ねる。

「今日、どうだった?」

そんな言葉が自然に交わされるこの場所で、家族の時間が流れていきます。

特別なことはありません。

けれど、同じ空間で、それぞれの一日を持ち寄るこの時間は、私にとってとても大切なものです。

家族っていいな、とふと思う瞬間が日常の中に散りばめられていることは、どんな高価なものよりも心を満たす栄養剤になっています。

家を建ててから、このカップボードが好きだという気持ちは、ずっと変わりません。
使い込むほどに増えていく小さな傷さえも、家族の時間が刻まれた証のように思えるからです。

スイージーのカップボードは、主張しすぎることなく、けれど確かに、我が家のダイニングを形作っています。

器をしまい、花を飾り、家族の気配を受け止める。
そのすべてを、静かに見守ってくれている存在です。

家族で過ごす大切な時間。
家で過ごす時間が好きだと、心から思える今の暮らしは、この場所があってこそだと感じています。

明日もまた、朝の光がこのカップボードを照らします。

同じ場所で、同じように一日が始まり、家族の時間が重なっていく。
変わらない「好き」を大切にしながら、私はこれからも、この家で暮らしていきたいと思っています。

𝑆𝑎𝑒 ┋ 心地よく暮らす家とインテリア

インテリアを楽しみながら日々の何気ない1コマを心地よく綴る。
勾配天井とロフトのあるリビングが特徴の設計事務所と建てた家。
夫と高校生の娘、わんこ2匹との穏やかな暮らし。

Instagram:@cky.home

2025年「Gallery」取材記事はこちら から「光と緑が息づく、私だけのホワイト空間」

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