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2022.02.03

季節のインテリアレッスン #09

時がつくった〝味〟こそ魅力。オンリーワンのヴィンテージを暮らしに

こんにちは、インテリアスタイリストのさかのまどかです。

今回のスタイリングレッスンのテーマは、「ヴィンテージ」。

さまざまな国で作られ、人々の暮らしの中で時間を積み重ねてきたヴィンテージアイテム。そこには、現代のアイテムとはまたひと味ちがう魅力を感じています。デザインや絵柄、色合いもそうですが、時を経ているからこその傷や汚れもまた、そのアイテムに心惹かれる魅力です。

人の暮らしの中にあった痕跡に想像を膨らませたり、アイテムが辿ってきた物語に思いを馳せたりするのも楽しいもの。暮らしの中に、時を経たアイテムを加えてみませんか?

寛容で存在感のあるヴィンテージアイテムは、眺めてよし使ってよし

まずは、器、フラワーベース、木の椅子という3つのアイテムごとに、その魅力とスタイリングのコツをご紹介します。

Item 01:Pottery

ヴィンテージのお皿は、蚤の市で出会ったり、海外から買い付けて販売しているお店でみつけたり。

小さな傷やシミも絵柄のように感じ、ちょっとした欠けにも温かみを感じるから不思議です。表面に入った貫入(ひび)も、中には繊細に入っているものがあって、レースのような美しさを感じてしまいます。一見、ネガティブに思える要素も、ひとつしかない個性であり魅力です。

大きな絵柄の一枚には、お皿が主役になるように無地のシンプルな布を合わせるのがおすすめ。カップや小物などに黒を入れると、いい緊張感がプラスされて、テーブルの上がキュッと締まります。

ちなみに、絵柄が美しいお皿は、立てかけてアートピースとして飾るのも素敵です。海外の部屋では、お皿を飾っているのがよく見られますよ。

シンプルな白いお皿なら、布はモノトーンのボーダーなど、シンプルな柄のあるもので遊びを加えるのもおすすめ。白いお皿に白い布だと、すっきりしてはいますが、スタイリングとしては少しさみしい感じがするかもしれません。

お皿が古いものだからといって、布も古いものを選ぶ必要はありません。むしろ、古いお皿と現代の布を合わせることで、クラシックすぎない程よいやわらかさが演出できます。

Item 02:Vase

いつからか、ヴィンテージのフラワーベースを好んで集めるようになりました。

西ドイツのファットラバなど、その存在感に魅せられて集め始めたものもあるのですが、80年代から90年代に作られていたガラスのフラワーベースも、最近あらためていいなぁと思っています。ミニマルなものの良さももちろんありますが、この時代独特の華美な装飾もとても美しく、その造形にうっとりしてしまいます。

この時代のヴィンテージのフラワーベースは、デザインや装飾、色彩が個性的なものが多いので、飾るお花はたった一輪でも十分。色味でお花を合わせてもいいですし、フォルムで選んでもいいかもしれません。お花も十分個性的ですから、シンプルに一輪挿すくらいが、フラワーベースとも好バランスです。

また、個性的なフラワーベースは、お花を挿していなくても絵になるものが多いので、シンプルなお部屋には、ベッドサイドやサイドテーブルなどにひとつ置いておくと、雰囲気がぐっと変わります。存在感がありますから、小さなものでも大丈夫です。

Item 03:Wooden Chair

これはイギリスのものと思われるヴィンテージの木製椅子です。100年は経っていないと思うのですが、今も我が家では現役。暮らしの中にすっかり馴染んでいます。

木製家具は、経年変化も魅力のひとつ。木の節やひび割れも“味”のように思えて、愛おしく感じるのです。また、木製の家具は、人の手のあぶらで程よくツヤが出てくるのもいいところ。使えば使うほどに、温かみのある質感に育っていきます。

テーブルとセットじゃなくても、ヴィンテージの木製椅子を合わせれば、作られた国や時代の空気がプラスされて、暮らしに馴染むいい雰囲気が加わります。少しずつデザインが異なるヴィンテージの木製椅子を集めて、テーブルに合わせるのもいいかもしれません。

ヴィンテージの椅子は、ひとつだけポンとラフに置いておくだけでも部屋の雰囲気がぐっと変わります。お気に入りのラグと合わせるのもいいですね。部屋に置いて眺めたり、そこに座って寛いだり、読みたい本を置くなどサイドテーブル的に使ってみたり、使い方もいろいろです。ひとつ側にあるだけで、どこか落ち着く。そんな存在になってくれます。

同じものがないから出会うよろこびがあり、完璧ではないから愛おしい

ヴィンテージアイテムに心惹かれてしまうのは、なぜだろう。そう考えると、完璧じゃないから、かなぁと思います。お皿に描かれた絵柄には少し滲んでいるところがあるし、陶器のキャンドルホルダーは形がやや歪。木製家具の表面は、ひび割れていることもしばしば。

完璧じゃない部分を持ち合わせているからか、どこか愛おしさが込み上げて「これ」ではなく「この子」と呼びたくなってしまいます。同じ形でも、ひとつとして同じ形や同じ表情のものがない。それは、植物や人にも通じるものがあります。

ヴィンテージアイテムは、その時代や国独特のデザインや色彩も魅力的。私は、ヴィンテージペーパーを集めるのも好きで、海外の壁紙として使われていた一部や古い図鑑の1ページを見つけると、つい買ってしまいます。時が経って変色した紙も素敵です。こういう紙は、フレームに入れて壁に飾るのもいいですね。

ヴィンテージアイテムは、もちろん使ってもいいですが、飾るという楽しみもあると思います。かつての暮らしの道具が、時代を経てアートピースになるというのもおもしろいですよね。

私は、ヴィンテージアイテムだけでスタイリングするよりも、ヴィンテージアイテムと現代のモダンなものやシンプルなデザインと組み合わせる方が今の気分。古いものから滲み出るやわらかさと現代らしい軽さ、そのいいバランスを探ったり、組み合わせの妙を楽しんだりしています。

もし心ときめくヴィンテージアイテムを手に入れることができたら、そのアイテムが辿ってきた物語に想像を膨らませながら、ぜひお手持ちのものとの組み合わせを楽しんでみてください。そして、木製のものなど経年変化を感じられるものなら、今までアイテムが積み重ねてきた時間に今という時を加えながら、一緒に日々を積み重ねていくよろこびを感じてみてくださいね。

 

Photo by 木村文平

さかのまどか
インテリアスタイリスト

雑誌・webなどのメディア・広告撮影時のインテリアスタイリング、商業施設・ショールーム・ホテル・オフィスなどのアートワークやディスプレイ、住宅などのインテリアコーディネート提案をしており、アンティークやハンドクラフト・植物や花を取り入れたインテリアの提案を得意としている。
匂いを感じられるインテリア、ストーリーを大切にしてスタイリングをしています。

HP:http://coryo.co/
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