こんにちは、インテリアスタイリストのさかのまどかです。
昨年からリモートワークという働き方が一般的になったり、打ち合わせなどもオンラインで行われたり、仕事の仕方が随分と変わったという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか? 自宅で仕事をするのは、通勤時間がなく楽ちんな部分もある反面、気持ちの切り替えがなかなか難しかったりしますよね。
今回のテーマは、そんなお家時間の中でメリハリをつけながら心地よく暮らしていくための「香り」。
これまでのコラムでは、色を変化させたり素材を季節に合わせて変えたりすることで、洋服の衣替えのようにインテリアでの気分の変化をご紹介していきましたが、もっと瞬間的に、そのひとときの気分を変える時には、「香り」という手段はとても有効です。
気持ちの切り替えは、意識だけではなかなか難しいこともありますから、そういう時こそ「香り」の力を借りるのがおすすめです。
植物由来の香りアイテムを展開しているブランド「yes.」の代表であり、セラピスト・フレグランスコーディネーターとしても活躍している山野辺喜子さんをお迎えして、そんな日常に寄り添う香りの取り入れ方についてもお話をお訊きしました。
シーンに合わせた香りで、ON/OFFを緩やかに切り替える
まずは、3つのシーンに合わせた空間作りと共に、香り選びについてご紹介します。
Scene01:LIVING
リビングは、リラックス要素も求めつつも、次の活動へのワンクッションのような場所。この場所でリセットするという意味では、自分に帰る場所、リフレッシュされる場所とも言えますね。
そんな空間には、自分が好きなアートやフラワーベースなどの小物、クッションやラグに好きな色を取り入れるのがおすすめ。植物が好きな方は、空間のあちこちに観葉植物や切り花を生けておくのもいいですね。ちなみに、我が家のリビングも、植栽やアートピースが住人よりも幅をきかせています。
リビングに合うのは、リラックスしつつも爽やかさを感じられる香り。例えば、まるで森林浴をしているような気分になれる木のアロマオイルは、思わず深呼吸したくなる心地よさがあります。今回は、yes.の〈森へ行く日|呼吸〉フレグランススプレーをひと吹き。爽やかな香りが空間に広がって、気分もリフレッシュできます。
「ヒバなど木から抽出した香りは、すっきり爽やかな気分にもさせてくれますし、リラックスにも導いてくれます。朝、仕事の前にニュートラルに頭を起こしたい時にも、おすすめです。yes.の〈森へ行く日|呼吸〉は、青森のヒバの天然香料を使っています。都会でもお家の中でも、シュッとした瞬間に森を感じていただけると思います。山が恋しくなった時にもおすすめ。ちなみに、消臭作用もあるので、来客前に空間を整えたい時や魚料理をした後のキッチンでの消臭にも便利です」(山野辺さん)
Scene02:WORK SPACE
デスク周りはパソコンや無機質なアイテムが並びがちなので、邪魔にならない小さなアートピース(ここでは顔のフラワーベース)や植物を置くのもいいですね。
気分をお仕事モードに切り替えるには、スッと目が覚めるような爽快な香りがいいかもしれません。瞬間的に気分を変えるにはスプレータイプがおすすめですが、ディフューザーにオイルを数的垂らして、ゆっくりデスク周りに香らせるのも◎。
ちなみに、yes.のディフュザーのようにコンパクトなものは、デスクにおいてもじゃまになりませんし、木製なので木製のインテリアや小物とも馴染みやすくておすすめです。
「スッキリしたいときには、ミントやユーカリ、ベルガモットなど柑橘系の香りがぴったりです。日中眠くなった時には、スプレーを使うと頭がスッキリすると思います。yes.の〈on〉というブレンドは、ユーカリベースのブレンドです。交感神経を優位にするので、集中力を高めたい時におすすめ。爽やかな香りなので、朝目覚めた時や暑い時期のクールダウンとしても使っています」(山野辺さん)
Scene03:BED ROOM
寝室は、ファブリックの素材感で季節感を演出したり、いろいろな柄や色のクッションで組み合わせを楽しんでみたり。肌触りのいいものをみつけて、よりリラックスできる睡眠環境を作るのもいいと思います。見た目と触り心地の両方で、気持ちのいい空間を作ってみてください。
遅くまで仕事をしてしまった日や考え事をしてしまった時は、なかなか寝付けないもの。そんな時には、うっとりとリラックスに導いてくれる植物の香りに包まれてみてください。スプレーを枕元に置いておけば、空間にシュッと香りを漂わせてもいいですし、枕カバーにひと吹きしてもいいと思います。お気に入りの寝具やファブリックでゆったりリラックスできる睡眠環境を整えたら、よく眠れるおまじない代わりに香りを添えてみましょう。
「リラックスへ導いてくれる香りとしては、ラベンダーやベルガモットが代表的です。最近目に見えないストレスを抱えている方が多く、入眠に時間がかかるというお話を伺います。質のいい睡眠をとるためにも、香りを使ってモードを切り替えるのも大切なことだと思います。
yes.の〈off〉のブレンドは、副交感神経を優位にしてリラックスへ導く植物オイルをブレンドしています。自然と緊張が溶けて気持ちが緩んでいきますから、うっとりと香りに身を委ねてみてください」(山野辺さん)
好みや心地よさが教えてくれる、今のわたしが求める香り
香りのプロフェッショナルである山野辺さんですが、ご自身はどのように暮らしに香りを取り入れているのでしょう。お訊きしてみると、「植物の香りがないことが考えられないくらい当たり前で、すっかり暮らしの一部です」と山野辺さん。
「yes.で展開している香りやアイテムは、もともと私が自分の身体や心に寄り添いながら、不調を和らげるために作っていたものがベースとなっています。ブランドを立ち上げる以前から、アロマとハーブと共に生活していると言ってもいいくらいなので、植物の香りがない暮らしは考えられません。家では、ソープやスプレーなどもなどもいくつかの種類を並べて置いていて、その時の気分で選んで使っています。匂いをかいでいいな!と感じる香りが、その時の自分が求めている香りだと思いますから。植物を飾るような感覚で、ぜひ気軽に香りを取り入れていただけたらと思います」(山野辺さん)
今回ご紹介した香りアイテムのように、雰囲気の異なるものを数種類持っておくと、シーンや気分によって使い分けができていいと思います。また、暮らしに香りを取り入れる第一歩としては、毎日使うソープやバームもおすすめだと山野辺さんは教えてくれました。使いやすいアイテムから手に取って、自分の好きな香りを探していくのもいいかもしれません。インテリアもそうですが、自分の好きな方向性やバランスがわかってくると、より一層、自分らしく楽しめるようになるはず。
今までは、主に視覚的なスタイリングをご紹介していましたが、目に見えない香りも空間作りとしては重要な要素です。今回ご紹介したのは、ハレとケなら「ケ」の香り。誰のためでもなく、まずは自分のために香りを使い、日常空間をより心地よくしてみませんか?
Photo by 木村文平
<取材協力>
福島県いわき市出身。2004年自身のアレルギー改善のためアロマセラピー、食事療法・体質改善などを学び始める。また、家族の病を機に、整体・アロマトリートメント・介護などの技術も習得。身につけた知識や技術、実体験を活かし、心身を癒すセラピストとして活動を展開。2014年オリジナルブランド “fragrance label yes”をスタート。アロマやハーブなどの天然素材にこだわり “オリジナルフレグランス” を調合するサービスや、アロマクリーム作りワークショップ、香りの空間演出などを行う。
HP:https://www.fragrance-yes.com/
Instagram:@fragrance_yes https://www.instagram.com/fragrance_yes/
雑誌・webなどのメディア・広告撮影時のインテリアスタイリング、商業施設・ショールーム・ホテル・オフィスなどのアートワークやディスプレイ、住宅などのインテリアコーディネート提案をしており、アンティークやハンドクラフト・植物や花を取り入れたインテリアの提案を得意としている。
匂いを感じられるインテリア、ストーリーを大切にしてスタイリングをしています。
HP:http://coryo.co/
Instagram:@coryo.co https://www.instagram.com/coryo.co/