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自然体で飾らない。暮らしにエクリュの魔法を。

自然との共生

東京・世田谷区深沢。都内でも有数の高級住宅街として知られる一方で、駒沢オリンピック公園という広大な自然の広がる街。

植栽や水景施設など、贅沢なランドスケープデザインを実現する大規模マンションで、夫と学生の息子さんと共に暮らす、jijoさんを訪ねました。

お子さんの教育環境など、家族のライフステージの変化に伴い、都心でも異なる性質を持つ街を転々としたのちに現在の家に辿り着きました。

自然と、ビルと。

室内からは、駒沢公園の木々の揺らぎを身近に感じることができます。

冬の晴れた日の早朝には、そのはるか向こうにみえる都心のビル群が茜色に染まり、夜から朝へ、世界がゆっくり目を覚ます…。そんなマジックアワーがjijoさんの好きな時間帯。

リビングの隠れた一角

リビングの少し奥まったスペースのニッチ棚には、リサ・ラーソンなど、これまで集めていたお気に入りの雑貨を飾っています。

「ここは、私の世界です」

リノベーション計画時のスクラップブック

jijoさんの住まいに対する想いは、ご実家が建築関連の会社を営んでいたという生い立ちとも密接な結びつきがあるようです。

幼少期より多様な建築・建材に触れる環境にあり、学校帰りには会社に立ち寄るのが日常であったという彼女にとって、木材やタイル、石といったマテリアルは、単なる家の機能部品ではなく、暮らしを構成する「表現」の一部です。

両親が建築を生業として日々真剣に向き合う姿を見て育ち、自身も学生時代は服飾を学びました。百貨店での勤務を通じて磨かれた色彩やバランス感覚、“良いものを長く大切に使う“という価値観…それらが、今回の家づくりにおいても影響を与えました。

スクラップブックは、言葉では伝えきれない微妙なニュアンスを共有するためのコミュニケーションツールで、今でも大切に保管されています。

スイージー su:iji Neutral Color NZ40ニュートラルカラー D1色

「これまで4回引っ越していろんなキッチンをみてきましたが、ウッドワンさんのものがやっぱり良いなと思いました。たくさんショールーム巡りもしましたが、見て触ってスペックも体感して、なんか違うなと思ったんです」と、jijoさん。

「ウッドワンさんのカタログからは、本物の木が持つ生命力や、インテリア雑誌のような美しいビジュアル、そこにある穏やかな暮らしの空気感を感じることができました。あと、紙の質感も違っていましたね」

キッチン選びには、あらゆるメーカーのカタログを収集。実家でよく目にしていたウッドワンのロゴに対する親しみもあったのだとか。

決め手となったのは、ショールームで実際に触れた「木」の質感。

工業製品としての美しさもありながら、使い込むほどに変化し、生活に馴染んでいく「経年美化」の思想だったようです。

「同じ“白”でもいろいろあって悩みましたが、最終的に夫にもショールームについてきてもらったら、もうこれしかないんじゃない、って言ってくれました。“框”も気に入っています」。

「エクリュ」の思想

jijoさんは、ご自宅のキッチンや住まいについて、かつて通っていた美容室で使われていた「エクリュ(ecru)」という言葉で表現しています。

フランス語で「生成り」を意味するこの言葉は、過度に漂白されず、素材本来の複雑さと優しさを含んだ状態のことを指します。肩の力を抜き、全身の血流が改善されるような安堵感を、住まいの中に再現したいと考えたようです。

白の選択と光の設計

「この場所が少し暗いこともあって、あえて明るい白にしたんです」というjijyoさん。

当初の計画では、グレー系のシックな床材やキッチンの導入も検討していたようですが、住戸が北向きであること、キッチンの配置場所が廊下に面し奥まった位置にあること、もろもろの条件から、暗い色調を選択すると、空間全体に閉塞感を生んでしまうかもしれないと考えました。

ニュートラルカラーのホワイトは、無機質な白ではなく、木の質感を活かした深みのある塗装。北向きの柔らかな安定した光を優しく反射します。

キッチン本体を「ニュートラルな白」、そしてワークトップを「フィオレストーン」という天然水晶が主成分の人造石の素材に。アクセントとして黒の棚板や小物を配置することで、素材が重層的に重なる豊かさを感じます。

「手洗い」を尊ぶ選択

また食器洗い機はあえて設置しませんでした。

子どもが成長し、自身の時間を持てるようになるにつれ、一つひとつに作家さんの想いが込められた繊細な器、経年変化を楽しめる陶磁器を好むようになった

中を大きくつかうことができる“開き扉”タイプを選択

食器洗い機をなくしたことで生まれたキャビネットの空間は、大容量の収納スペースとして機能し、大切な器から、大きな家電、ゴミ箱に至るまで、使い勝手良く美しく納められています。

かつて日本料理を本格的に学んでいたというjijoさん。ワークトップは調理スペースを広くとりすっきりとした状態を保ち、この「余白」が料理や日々の楽しさをさらに引き立てています。

最近は一緒に暮らす息子さんも、土鍋での炊飯を自発的に行うように。最初は火加減の調節に苦労していたものの、今では完璧にふっくらと炊き上げ、仕事から帰宅するjijoさんを迎えてくれるそうです。

キッチンのみ後からリフォーム

中古マンションを購入しリノベーション。

もともとついていたキッチン設備がすごく綺麗だったことから当分はそのまま使用していましたが、入居して2年、自分の思い描く空間を実現させたいという想いで、段階的にリフォームされました。

その資金の一部には、亡くなった父親からの相続財産が充てられたといいます。

父親は、娘が建築や空間づくりに深い関心を持っていること知っていたので、jijoさんが理想とする空間づくりをすることは、父への敬意と感謝を示す一つの形でもあったようです。

キッチンで身支度も

キッチンに鏡を置いているのは、忙しい朝時間を有効活用するためだそう。洗い物や食事の準備をしながら、鏡越しに自分の顔色を確認し、身支度を整える。

洗面室ではなく、お気に入りの場所であるキッチンで朝をスタートさせることは、jijoさんにとって、精神的なスイッチを入れる儀式となっているようです。

トイプードル「ショコラ」との暮らし @jijo.ab さんInstagramより。

愛犬トイプードルの「ショコラ(10歳)」も、家族の一員として、この家での暮らしを謳歌。

「お料理しているとき、ソファーから私を見ているショコラが居て、奥には公園の緑が見えて。癒されますね」

家族とともに育つ木のキッチン。

完成した瞬間が美しさのピークである化学素材がある一方で、本物の木は、日光や空気、そして人の手に触れることで、ゆっくりと時間をかけて深みを増していきます。

都心の豊かな緑、両親から受け継いだ建築、そして家族への愛情。様々な要素が美しく整列したリノベーション。

この空間にかけられた魔法は、日々の単調な炊事を喜びに変え、家族とのコミュニケーションを育み、自分自身を慈しむための、ささやかで、でも確かな活力となっているようでした。

(文:松岡)



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設計・施工:SUNREFORM


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