こんにちは
インテリアスタイリストの さかのまどか です。
秋の茶時間をご紹介してから、季節は巡り、気づけば春を迎えています。
室内で整えてきた設えを、今回は少し視点を変えて。
長野県東部、軽井沢・御代田で開催された衣食住ライフスタイルマーケット 調和 に参加しました。
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会場は浅間山の麓に広がる複合施設MMoP(モップ)。
会場となったMMoPは、雄大な浅間山の南麓、御代田町に2021年にオープンした複合施設です。
自然環境と住みやすさから移住者も増えるこの町に生まれたMMoPは、衣食住とアートフォトを五感で体感できる“ヴィレッジ型”の空間。敷地内には、旧軽井沢美術館の建物を活かした御代田写真美術館を中心に、カフェやインテリアショップなど8つの施設が点在しています。建築デザインを手がけたのは、ルーヴル美術館の改装も担ったジャン=ミシェル・ヴィルモット。自然とクリエイティブがゆるやかに共存するその在り方は、今回のテーマ「調和」とも重なるものでした。
「人と人、人と物、物と物の調和を大切に、衣食住に重きを置いた現代のスタイルに寄り添うライフスタイルマーケット」というコンセプトのもと、軽井沢・御代田をはじめ、関東・関西から約30のブランドやクリエイターが集結しました。
洋服、インテリア、器、古道具、飲食など、暮らしにまつわる多様なジャンルが並び、ワークショップや手技療法のブースも展開。買い物だけでなく、その場の体験も楽しめる構成になっていました。
当日は約1,000名近い来場があり、終日多くの人でにぎわっていました。軽井沢周辺だけでなく、東京や西日本から足を運ぶ方も多く、このテーマへの共感の輪の広がりを感じました。
テーマに合わせた設え
今回のテーマは「茶/冬衣/和/温/養生」。
私は古物と茶のしつらえを中心に、広島のデザイナー PORTEさんとともに出展しました。PORTEさんはオリジナルの風呂敷と、布へのシルクスクリーン体験を。そして私たちは共同制作したカレンダーも展開しました。茶器や古物を通して冬の静かな時間を提案し、風呂敷では“包む”という行為そのものの温かさを表現。カレンダーは、日常の中で自然と季節を感じられるような構成にしました。
写真、添えられたことば、色や余白によって、その時期の空気感や温度をさりげなく表現しています。はっきりと季節を示すのではなく、手に取ったときやふと目に入ったときに、「今どんな季節にいるのか」を感覚的に思い出して頂きたい というような願いを込めて。
ジャンルや素材は異なりますが、不思議と違和感はなく、空間全体として一つの景色をつ くれていたように思います。
来場者の方々は足を止め、ゆっくりと手に取ってくださる方が多く、カレンダーや古物について質問をいただいたり、風呂敷の使い方を試してみたり、シルクスクリーンを体験されたりと、自然な会話が生まれていました。
想像を超える反応
結果として、この場で生まれた出会いや対話は、想像をはるかに超える着地となりました。当日は約1,000名近い来場があり、軽井沢周辺だけでなく遠方から足を運ばれた方も多く、会場は終日ゆるやかな活気に包まれていました。
数字以上にうれしかったのは、数年前からフォローしてくださっていた方と初めて直接お 会いできたことです。画面越しだった存在が、同じ空間で笑っている。その瞬間に、この 場の意味を強く感じました。
暮らしの延長にある場
出展されていたのは、どれも“暮らしの中で長く使えるもの”が中心でした。
素材の質感を活かした手仕事、温かみや歴史を感じる器、着心地を大切にした衣服、素材を丁寧に扱った食。どれも日々の暮らしを静かに整えてくれそうなものばかりです。
単なるマーケットではなく、これからの季節をどう過ごすかを考える場でもあったように 思います。
自然に囲まれた環境の中で時間を過ごすことで、物との距離感が少し変わるような感覚が ありました。手に取る動作や、選ぶ時間そのものが、いつもよりゆっくりと流れていく。 暮らしの延長線上にあるマーケット、という印象です。
春へと向かう今、あらためて「何を選び、どう使うか」を見つめ直す時間になりました。 「調和」という言葉は抽象的ですが、この場ではそれが具体的な体験として立ち上がって いました。人と人、人と物が無理なく関わり合う、その心地よさを実感できた一日でし た。
『調和』を持ち帰る
さて、数多く並んだ品々のなかから、私が選んだのは「浅間石のお香立て」と、「PORTE の風呂敷」です。
浅間石は、長野県と群馬県にまたがる浅間山の噴火によって流れ出た溶岩が冷えて固まっ た火山岩。漆黒の深みある色合いと、多孔質ならではのざらりとした質感が印象的です。 手のひらにのせるとずっしりと重みがありながら、どこか静かな佇まいがあります。自宅 では小さな香立てとして使っていますが、春のやわらかな光の中でもその黒は揺らがず、 空間を引き締めてくれる存在になりました。
もうひとつは、ともに出店したPORTEのオリジナル風呂敷。今回のために「調和」という文字を漢字や英語でデザインし、シルクスクリーンで仕上げた一枚です。包む、敷く、目隠しにする。使い方はさまざまですが、日常の動作の中に自然と「調和」という言葉が入り込むことが、思いのほか心地よく感じられます。
慌ただしい一日のなかでも、自分の暮らしにすっとなじむものを選べたことが、今回の何 よりの収穫でした。
冬に出会ったものたちは、いま春の光の中でまた違う表情を見せています。旅先やイベントで手に取ったものが、自宅の棚やテーブルの上に静かに収まり、日々の景色に溶け込んでいく。その過程こそが、私にとっての「調和」なのかもしれません。
季節が巡るたびに、選ぶものも、感じ方も少しずつ変わっていきます。それでも、自分の暮らしにしっくりとなじむものを丁寧に迎えていくこと。その積み重ねが、これからの時間を整えてくれるように思います。
インテリアスタイリスト
雑誌・webなどのメディア・広告撮影時のインテリアスタイリング、ホテル・オフィス・商業施設などのアートワークやディスプレイのキュレーション、住宅などのインテリアコーディネート提案をしており
ハンドクラフトや植物を取り入れたインテリアの提案を得意としている。
抹茶と中国茶を勉強中。
最近逗子に移住し、東京との二拠点生活を楽しんでいます。
HP:http://coryo.co/
Instagram:@coryo.co