こんにちは、さとうゆみこです。
前回、味噌作りのために栽培した大豆についてお話ししましたが(前編はこちら)、ぜひ味噌作りについても聞きたいとリクエストをいただいたので、今回はその続編として、味噌作りについてもお話ししたいと思います。
美しい豆の姿に感動
まずは豆の量を量り、一晩浸水します。意外に汚れているので、水が綺麗になるまで数回水を替えて洗います。カラカラカラ、と水の中で踊る大豆たち。昨年7月に蒔いた種がこんなに豊かな時間をもたらしてくれるとは当時は思わなかったでしょう。そして、翌日の綺麗に膨らんだ豆の美しいこと!よしよし、いつもと変わらない光景だ、と一安心。いよいよ味噌作りが始まりました。
木桶って素敵だけど…
以前はホーロー容器で味噌作りをしたことがありましたが、数年前、髙橋公美さん(「未来につなぐ自然食研究会」) から吉野杉の杉桶を使った味噌仕込みを教わり、それ以来、あらためて自家製味噌の美味しさと楽しさを知り、この杉桶で仕込むようになりました。
それまでは、たまに仕込む年があったり、いっとき作らなかったりと、気まぐれな味噌作りでしたが、木桶は乾燥を嫌うため、桶のコンディションを保つ意味でも毎年欠かさず仕込むようになりました。呼吸する杉桶は発酵が穏やかで味に丸みあります。ほのかな杉の香りもいいですね。そして、長年使い続けると蔵に付いた菌のように、だんだんその家の味になっていくのだそうです。
木桶って素敵だけど、扱いが難しそう…と思うかもしれませんが、慣れてくると特別なことはありません。もちろん、ホーローやジッパー付き保存袋でも味噌は作ることができるので容器にこだわらず、まずは気軽に始めてみるといいですね。
豆潰し問題
浸水した豆を3時間ほどしっかり柔らかくなるまで茹でたら、お次は一番手間がかかる、お豆を潰す作業です。以前は家族に手伝ってもらって、機械などを使わず時間をかけて手で潰していました。それから手伝う家族がいない時もあって、手持ちのフードプロセッサーを使い始めました。手で潰すよりも断然速いのですが、フードプロセッサーの特性として同じ箇所が何度も回ってしまうので、ムラができてしまうというのが気になっていました。やっぱり小さくてもいいからミンサー(ひき肉のように挽いたらそのまま出てくるもの)欲しいなぁ…でも味噌作りだけのために道具を増やすことはできません。
そこで、今年は初めて、ビニールの上から瓶で潰すスタイルでやってみました。ビニールに対して少なめの豆を入れて、その上から瓶でゴロゴロと転がしていくだけ。豆が柔らかいので思ったより簡単につぶれてくれます。今回はビニールが小さかったので(といっても少し大きめの34×48cm)この作業を何度も繰り返す必要はありましたが、これが意外にスピーディーで作業台の散らかりも少ない。同じ圧力で均等に豆が潰れるので、もし機械がない場合は一番ムラが出にくく、スマートな方法かもしれません。
味噌作り完了
綺麗に潰れた大豆は塩切り米麹としっかり混ぜながら、煮汁で柔らかさを調節します。
握ってみて硬さを判断するのは、普段、土の状態を確認したり、ぼかし肥料を作るときにもやる方法で、発酵するための適度な水分を測ります。水分は少なすぎても多すぎても良くありません。そして、拳くらいの大きさの味噌玉を作ったら桶の中に空気を抜くようにぎゅっぎゅっと詰めていきます。
巷では、カビの防止に味噌の表面を「酒粕」で蓋をするというという人が増えていて、今年は私も酒粕を貼り付けてみました。
実際に発生したカビは取り除けば問題なし!と言われていますが、やっぱり、表面のカビって見つけた時はドキンとしてしまいますよね。
最後に重石の石を乗せて終了です。
節分の炒り豆
今年は収穫した大豆がまだたくさんあるので、ついでに節分の炒り豆も用意することにしました。これまでは、節分用には炒り豆にされたものを購入していたので、乾燥大豆を一から炒り豆にするのは初めてです。私は、炒り豆は乾燥大豆を洗ってそのまま炒るだけだと思っていたのですが、調べてみると、炒り豆って、一度しっかり浸水してから炒るのだそうです。知りませんでした。
娘が以前、「節分の豆って、乾燥しているのに長いんだね」っていっていたのを思い出しました。収穫した大豆はまん丸なのに、水が加わると膨張して元に戻り、少し長い丸形になるわけですが、炒り豆は乾燥している状態なのにどうして丸くないのだろう?ということなのです。そう言われれば確かに不思議な感じもします。
味噌や醤油、豆腐と馴染み深い大豆ですが、まだまだたくさん知らないことがありそうです。
発酵の力は畑にも
先ほども少し触れましたが、私は畑用にぼかし肥料(※)を年に2回ほど手作りしています。(畑ではなるべく肥料を使わず育てていきたいのですが、作物やその状態によって栄養分を補いたい場合に使っています)
なぜここで肥料の話をするかというと、ぼかし肥料も味噌も同じ「嫌気性発酵」(※)という方法で作っているからです。細かく言うとぼかし肥料は「好気性」と「嫌気性」どちらでも作ることができますが、私は簡単に作ることができる(自分の環境に合っている)嫌気性発酵で作っています。
※ぼかし肥料…米糠などの有機物を微生物の力で一度発酵させ、効き方を穏やかにした肥料のこと。
※嫌気性発酵(けんきせいはっこう)…空気の少ない環境で微生物が働き、有機物を分解する発酵のこと。それに対して、酸素を好む微生物が熱を出しながら分解するものを「好気性発酵」という。
いつも配達してもらうお米屋さんに、20キロくらいの米糠(500円くらいです)を届けてもらい、そこに少なめの油粕(無いときもあります)と、持っている手作りぼかし肥料も少し(スターターの菌として)、水を混ぜて作っています。全て混ぜたら、味噌のように、容器に空気を抜くようにして詰め込み、そのまま数ヶ月置いておくだけです。
他には、魚粉や骨粉、糖分、微生物資材を混ぜ込むのが一般的なのですが、私は「身近で手に入るもの」がコンセプトの一つにあるので、ここはシンプルな配合にしています。
ちなみに、「発酵」について楽しそうに語っている私ですが、実は私は「野菜の漬物」が大の苦手…(梅干しは大好物です)旬のお野菜で糠漬けとかやってそう、ってよく言われるのですが、匂いがどうしても受け付けず、残念ながら食すのはもちろん、触ることもできません。生まれながらに苦手なので今更どうしようもなく諦めているのですが、昔は「発酵」と聞くだけで、漬物が頭に浮かんできて、できれば味噌作りも肥料作りも避けておきたい領域にあったのだと思います。
それが、畑を始めて、土に触れ、菌に近づき…笑 肥料まで作り、おかげで少しずつ「発酵」のことを知ることができています。
土壌環境と腸内環境
小さな生きものや菌、植物の根など、さまざまな生物が共存する土壌で育まれた大豆。それを発酵させることで、タンパク質はアミノ酸へと分解され、「味噌」になっていきます。
私たちはそれを食し、腸内環境を豊かにしていきます。土壌、体の腸内、どちらもさまざまな生きものが共存する生態系です。そう思うと、すべては一連のものとして、見事につながっています。
自分で育てた大豆で味噌を作りたいと思い立ち、種まきから始まった味噌づくり。こうして振り返ると、自然の偉大な力と、その中で培われてきた先人の知恵に、あらためて感服せずにはいられません。
皆さんも、ぜひ一度、味噌づくりを。寒い時期の今なら、まだ間に合います。
前編はこちらから
『 自分の大豆で味噌を作りたい。大豆の栽培と収穫~前編~ 』
さとうゆみこさん
「green & knot」を主宰。フラワーショップやインテリアショップ、専門学校の講師を経て、現在はフラワーコーディネイトやグリーンアドバイザーのほか、植物にまつわるあらゆるジャンルで活躍している。自宅で行なっているフラワーレッスンも人気。
Instagram:@yumikosatooo yumikosatooo
Instagram:@soillifeooo soillifeooo 畑や土のこと