こんにちは、さとうゆみこです。
ここ数年、冬になると味噌を仕込んでいます。
生徒さんから教えていただいたこだわりの米麹と自然栽培の大豆を使って作る自家製味噌は、もう市販の味噌には戻ることのできない美味しさで、今では我が家の大事な食材として欠かせないものになっています。
すでに素晴らしい素材なのですが、畑を楽しんでいる身としては素材の大豆をどうしても作ってみたい!と思い…2年前から大豆を作り始めました。難しくはないと言われる大豆栽培。夏の枝豆が比較的簡単なものですからその延長線だと思いきや…いざ作ってみると栽培時期は酷暑の真っ只中、水分不足や害虫(カメムシ)のおかげで実がほとんど膨らまず失敗が続いてしまいました。
今年こそは自分の大豆で
今季は畑の場所を多めにとって、しかも場所を分散して植えることでリスク回避することにしました。今までは余った場所に適当に植えていたという反省もあって今回はじっくり考えていきます。
元々、私は3ヶ所の小さな畑を利用しています。そのうち2ヶ所の貸し農園には水場が整っていますが、もう1ヶ所の畑には水場がありません。
大豆は水が好きな植物なので、水場のある貸し農園には絶対1畝(12株)は作りたい。あとは水場がない畑だけれど比較的水もちの良さそうな場所を2つ(畝2つ、24株)。3ヶ所と言ってもどれも小さな畝なので、実際に味噌を仕込めるだけの大豆が収穫できるのかは心配でした。
当然、余裕を持って多めに作ればいいのですが、小さな畑ゆえ、大豆が占めるわけにもいきません。他にも植える野菜のことを考えると、これらの畝だけで精一杯でした。
まずは水もちの良い畝作りを
私のやり方は自然栽培(※)をお手本としながらも、肥料を与える場合もあったりする、有機栽培(※)のようなスタイル。いろんな方が定期的に入れ替わって使う“貸し農園“での自然栽培は難しいので、畑や自分の暮らし方に合う方法を考えながらやっています。
普段から不耕起(ふこうき)(※)でやっていますが、今回も前回の作物を片付けた後そのまま種を蒔きました。これから酷暑に入るという状況下では中、耕さないほうが保水力は高くなります。元々水やりをまめにしない私にはこちらの方が合っているのです。
※自然栽培 …肥料や農薬を使わず、植物が本来持っている力を引き出しながら作物を育てる栽培方法。
※有機栽培 …化学肥料や農薬を使わず、堆肥や有機質肥料など自然由来の資材を用いて作物を育てる栽培方法
※不耕起(ふこうき) …土を耕さず、作物の根や土中の微生物の働きを活かす自然栽培の方法。
種を蒔いたのは2025年7月初旬。豆類は発芽する前の種(豆)を鳩やカラスに食べられてしまうのでネットをかけておきます。いろんな種の中でも、豆類の種は腐りやすいため、発芽までは水をやらずに待ちます。そのため、種まき後は足でしっかりと踏みつけ、土と種をしっかりと密着させます。
発芽後、あっという間に大きくなり、8月中旬には、5ミリ程の小さなピンク色の花が。
草丈は1メートル近くあって、春から夏に育てる枝豆に比べるとボリュームが全然違います。
一般的に大豆栽培は手がかからない作物ですが、昨年の夏は雨がほとんど降らないという気候変動に見舞われたため、深刻な水不足が心配されました。水分の多い土壌を好む大豆ですが、特に、花の咲いた頃からサヤが出来始めるときが、一番水分が必要なのだそうです。
昨年夏、私の住む地域では体感的に2ヶ月近くほとんど雨が降らないという酷いものでした。普段はあまり灌水(かんすい)しない私も、さすがにこのときは週に2度ほどホースやジョウロを持って駆けずり回りました。といっても水場がない畑は別のところから運んで来るしかなく、ジョウロ1杯ぐらいでは、まさに「焼石に水」状態で諦めましたが…
小さなサヤが
種を蒔いて、ドキドキしながら芽が出るのを待っていたけれど、次は花が咲いてくれるかどうか気になってしょうがない… 慣れていないとこんなにも心配で仕方ないものなのですね。花が咲いてから、サヤになるまでが意外と長く、もしかして乾燥が原因なのでは?と度々見にいきました。
「あ〜あった!あった!枯れた花の後に小さなサヤができてる!」
1センチにも満たない小さなさやをしっかり確認できた時の喜び。品種にもよるのかしら、サヤになるまでに今回はとても時間がかかったように思います。
しかし、試練はここから
ここまでしっかり膨らめばもう安心と思いきや、その前の年もその前もここからほとんどが膨らまなかったのです。サヤがぺったんこのまま終わり。原因はカメムシ。そして、水分不足も考えられます。
「今年はちゃんとサヤが膨らむかなあ」
水場がある畑ではホースを使ってたっぷり灌水しましたが、水場がない畑ではほとんど水を与えることはできません。記録的猛暑と雨不足の中、大豆自体の力を信じて待つより他はありませんでした。
9月末、残暑のある中、結局、3つの畝のうち、2つの畝の実が膨らんでいました!残念ながら、残りの1畝はぺったんこのまま膨らむことなくそのまま。なんと、その残念な1畝とは水場のあった所だったのです。
毎日ではなかったけれど、週に2回くらいはたっぷり潅水したのにな…
水やり3年
「水やり」というのは簡単なことのようで、実はとても難しい。「水やり3年」ということわざがあるように、水やりの量やタイミング、やり方次第で植物の育ち方にぐっと差が出てきます。夏に暑いからといって毎日水やりすると、植物の根は奥深い地中の水分を自分で採りにいこうとせずに上部で待ち、結果貧弱に育ってしまいます。ただ、今回のように降水量が極めて少なく乾燥が続く場合は、回数を絞りつつ一度にたっぷりやる方が適切です。
では、どうしてこんな結果になってしまったのか。上手くできた方の土壌(畝)は元々適当な保水力があり微生物も多かったとしか考えられないのですが…
大豆が膨らまなかったところは水場があるとはいえ、なんとなく生える草も少なかった。逆に水やりもせず大豆が育った畑は、草がいつもびっしり生えていて微生物も豊かなような気がします。もちろん、どちらも不耕起で、肥料も与えていなかったのですがそれだけでこうも変わるのでしょうか。自然栽培は自然の力を借りて植物自体の力を引き出す栽培方法なので、はっきりとした答えが毎回出るわけでもなくいつも判断が難しいですね。
11月下旬に収穫
葉が黄色に変わり、茶色のサヤがしっかり乾燥したら収穫です。サヤをひとつ割ってみたら、まんまるの白い美しい豆がコロリと出てきました。3年目でようやくできた大豆です。残念ながら3分の1は収穫できなかったので、残りの2畝分でどれだけの量になるのか。でも、1株にびっしりついているのでこれなら味噌作りができそうです。
脱穀作業
収穫後、しっかり陰干ししたら、いよいよ豆をサヤから取り出す、脱粒作業です。なんとなく、出来るだろうと、一つ一つ手作業でやってみましたが、意外と時間がかかり大変でした…(家庭菜園では袋に入れて上から叩いたりするやり方があるようですが)
結果は大きなボウルにちょうど一杯分。大豆24株でおよそ2キロ強の豆が採れました。我が家の味噌作りには十分な量です。今年はやっと自分で作った大豆で味噌を作ることができる…と静かな達成感を噛みしめました。
次へつながる自然の仕組み
年が明けて、大豆の刈り取った後の様子。突き出ていた茎はもう根が朽ちてしまっていて、倒すとホロリと取れてしまいます。不耕起栽培は基本的には作物を根っこごと引き抜くことはしません(もちろん人参や芋類以外)。
成長していた時期にできた、地中深くの根っこは微生物によって分解され、腐植となって次の作物の栄養となります。分解されてなくなった根っこの細い通り穴によって水捌けも良くなり、微生物たちのコロニーに大きく役立ち、やがてそれらは次の作物に役立つのです。
特に今回のようなマメ科の植物の根には「根粒菌」(こんりゅうきん)という菌が共生していて、根粒菌は空気中の窒素(植物にとっての大事な栄養)を土中にとり入れる働きを持っています。
今年はここへトマトを植える予定。畑作業は次世代へとつながる自然の仕組みの素晴らしさを感じる場所でもあります。
「自分で育てた大豆で味噌作りできるなんてすごいね」と家族一番の食いしん坊の娘。私に似て、「作ること」に興味があります。いつか家を出たら自分でも味噌を作りたいのだそうです。かなり偏りのある我が家の季節の仕事ですが(笑)、少しでも次世代へつながっていけたらうれしい。
来季の種用として少し大豆を残しておきました。今年もまた7月に種をまき、厳しい夏をどう乗り切るか、畑と向き合ってみようと思います。
さとうゆみこさん
「green & knot」を主宰。フラワーショップやインテリアショップ、専門学校の講師を経て、現在はフラワーコーディネイトやグリーンアドバイザーのほか、植物にまつわるあらゆるジャンルで活躍している。自宅で行なっているフラワーレッスンも人気。
Instagram:@yumikosatooo yumikosatooo
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