Ki-mama Ki-Mama

Lifestyle

2025.04.28

愛用品と暮らし #01

私の愛用品と暮らし

こんにちは、インテリアスタイリストのさかのまどかです。

私はインテリアスタイリストとして約10年ほど活動しています。雑誌・webなどのメディアや、広告撮影時のインテリアとPROPSのスタイリングを主に、モデルルームのインテリアコーディネートや商業施設やオフィスのアートワーク、ディスプレイのキュレーション、暮らしにまつわるイベントディレクションなどなど・・をしています。

以前は『季節のインテリアレッスン』という連載を書かせて頂いていましたが、都内から神奈川の海のある街へ転居したことを機に、より“暮らし” や “ライフスタイル” にフォーカスした視点で『愛用品と暮らし』とテーマを変えてKi-Mamaさんに参加させていただくことになりました。

改めまして、よろしくお願い致します。

今回は、私自身が自宅でも使用している愛用品と、転居した海街での新しい暮らしをご紹介いたします。

新しい暮らし

東京都内で慣れた生活圏を離れて、神奈川県の海のある街に越してきたのは、インテリアや暮らしをもっと楽しみたい!と考えたからです。

歩けば海も山もある自然と都会のバランスが良い場所で、少し広い家を借りて自宅で色々なインテリアスタイリングを楽しみたい、自分自身にとって豊かなライフスタイルについて考えたい、と思いました。

和室

この家は和室に入ったひかりの美しさが決め手となって住まうことを決めました。

築年数の古い一軒家、これまでに蒐集(しゅうしゅう)した多国籍で新旧様々な家具やアートを柔らかく包み込んでくれています。

仕事は変わらず東京都内が中心でして、オンとオフのメリハリがかなり明確にできるようになりました。

いまも都会と行き来しながら変化を手探りで楽しんでいます。

私の愛用品 襤褸

職業柄、たくさんの家具や作品を蒐集(しゅうしゅう)していて、家の倉庫にストックしています。
日用品というより、ただの鉄だったり愛でるだけのものも多いです。

実は夫も同業のインテリアスタイリストでして、2人合わせると家具屋さんが開けるくらいに在庫があり、例えば椅子は50脚以上あります。

そんな中でどれをご紹介しようか・・と悩んだのですが、まずは『襤褸』(ぼろ)という布をご紹介させていただきます。

襤褸( BORO)

襤褸 (BORO) は木綿が貴重だった東北地方を中心に使われてきた布です。

主に藍染(木綿)の野良着や肌着、寝具などを擦り切れるまで使い、
穴があいたら継ぎ接ぎして刺子をして…何年もそして何代も繰り返していくうちに
パッチワークのように種々様々な布が重なり溶け合っていきます。

“溶ける”というのも襤褸独特の表現で好きなところです。

何層にも重なり合った布と刺子が
「無作為の美」を作り 唯一の品に。

そしていまは私の部屋を彩ってくれています。

ソファにかけたり、カーテンのように窓にかけたり
間仕切りにしたり…
布を自由に楽しんでいます。

ソファのスタイリング

フランス の黄色いソファ(ligne roset)、ポルトガルのクッションとも好相性☺︎
存在感があるので都内のマンションに住んでいる時には飾れる場所が限られてしまい、長く仕舞われていたのですが今は和室で光を通して気持ちよさそうに吊られています。

季節が変わったらタペストリーのようにしたりしようかな、と妄想中です。

私の愛用品 “ケガキ”のライト

もう一つご紹介する愛用品は、ご近所の鎌倉という街で出逢ったクリエイター
ombréさんの作られた照明です。

『ケガキ』用の工具を照明の本体として作られています。

ケガキって?と思われた方もいらっしゃるかと思います。

私もこのライトに出会うまで知らなかったのですが、漢字だと“罫書き”と書き、材料の上に傷をつけて線を描くことを指し、穴あけの位置を決めたり,切り出しの位置や基準の線を決めるために行うそうです。

この本体はそのための道具なんですね。

古い道具にombré さんが別の用途を加えて生まれ変わらせたもの、人の手が加えられたものってとっても愛らしく感じます。

無骨でハードな印象の本体にコードが巻かれていて
ライト自体は吊ってあるだけなのでゆらゆらと動く、そんなゆるやかさもあります。

ombréさんは灯りの提案だけでなく、空間演出もされていて
北鎌倉には素敵なアトリエを構えていらっしゃいます。
アトリエでは多くのライトが空間に溶け込みつつ その場所を優しく演出するように使われています。ふわっと気持ちがあたたかくなるようなひかり。
私もお伺いさせて頂き、改めてお部屋の照明について、多灯について、アカリについて・・を考えるきっかけとなりました。

皆様のお宅ではどのような灯りを使われていますか?
我が家ではメインとなる大きな照明とフロアライトを使っています。

倉庫には仕事で使用したvintageのスタンドライトや意匠性のあるライト(あまり明るくはなりません)などなどを眠らせていまして、ombré さんのアトリエに伺ってから、よりスタイリングに積極的に取り入れてみるようになりました。

お部屋の中を多灯照明にすることで、室内に色々なシーンが増えました。
これまでより部屋が複層的に(レイヤーがあるように)感じます。

北欧など日照時間の短い国ではこうした多灯づかいが日常的に生活の中にあることはご存知の方もいらっしゃるかと思います。

照明ではなく、キャンドルを使用するのも手軽で良いなぁと思います。

私の愛用品(おまけ)アラジンストーブと海街の暮らし

火が灯るもの、といえば、この家に来てからストーブを使用しています。

4月とはいえ夜はまだまだ寒いので、まだまだお世話になっています。

ヒーターとは異なり、ふんわりとあったかい。体の芯に暖かさが感じられます。暖かさが柔らかい。あとはどこか懐かしい?ような灯油の香り。

ヤカンを乗せれば湯気が出てお部屋の湿度も上がるので気に入っています。

夏のイメージが強い海街ですが、冬は冬の良さを感じています。

冬の海には富士山がくっきり見え清々しい。

私が住んでいるあたりは、都内からも程よい距離感のため
作家さんやクリエイターの方が多く住まわれて拠点とされており、

先ほどご紹介した照明のombré さんもそうですが、この街に住むようになってから多くの作家さんと出会えました。

豊かな環境でクリエイティブ(制作活動)に集中しやすいのかなと思います。

別荘建築も数多く残っており、市中山居ができる暮らしは昔から文豪や画家など作家さんの拠点となっていたようです。

秋には湘南邸園文化祭なるものが行われているので、そんなご紹介も出来ればと思います。

新生活が始まった方も多くいらっしゃるかと思います。インテリアの仕事をしていると、この時期に家具や照明、カーテンなどなど、インテリアのことを考える方が増えるようで慌ただしくしています。

この記事が少しでもインテリアを楽しむ方のお役に立てれば嬉しいです。

皆様の新生活のスタートを応援しています!

さかのまどか
インテリアスタイリスト

雑誌・webなどのメディア・広告撮影時のインテリアスタイリング、ホテル・オフィス・商業施設などのアートワークやディスプレイのキュレーション、住宅などのインテリアコーディネート提案をしており
ハンドクラフトや植物を取り入れたインテリアの提案を得意としている。
抹茶と中国茶を勉強中。

最近逗子に移住し、東京との二拠点生活を楽しんでいます。

HP:http://coryo.co/
Instagram:@coryo.co https://www.instagram.com/coryo.co/


Related Posts