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大地と暮らす。居場所の多い家。

喧騒から離れて。

雄大な立山連峰を望み、富山湾の恵みを身近に感じる射水市。日本のベニスとも称される「内川」の情緒豊かな景観や、海浜公園の開放感は、この街ならではの贅沢な日常です。

喧騒から一歩離れ、ゆったりと流れる時間の中で暮らす、20代のご夫婦を訪ねました。

冬の朝時間

「見ての通り、立山はほんとにかっこいいんですよ。どーんと大きい富士山もすごくいいけど、大小の山がずらっと連なっているのが本当に綺麗で美しい。空気の澄み具合なのか、日によって近さが変わるんです。今日は連峰が近いなとか遠いなとか、毎日違う表情をみせるのもいいですね」

そう話すのはこの家のご主人である、歩夢さん。

「海側にある妻の実家と、山側の僕の実家の中間をとったような場所がここでした。とにかく景色のいいところに住みたかったんです」

同級生の奥様とは高校時代からのお付き合いなのだそう。

結婚して一緒になることも、いずれマイホームを持つことも、10代の頃から早々に人生設計に組み込んで、学生時代から現在に至るまで、計画的に淡々とストイックにこなしてきた日々。

「実は、高校で結婚相手を決めて、もう20代前半で家を建てたいと思っていました。それにはお金を貯めないといけなかったのでアルバイトばっかりして…」

お気に入り

家中いたるところに設計されたくつろぎスペース。その中でも、部屋の中心に据え付けられたこのベンチが2人のお気に入り。座面が少しナナメに配置されたのは、複数人で座ったときにみんなが薪ストーブの火を眺められるように。

広いので足を延ばして寝ることもできるし、コンセントや読書灯も完備されています。

「家は3回建てないと…と言いますが、1回目でこんなに満足度が高いのは、関わってくださったみなさんのおかげです」

家づくりの依頼先は、会社の同僚が同じ住宅会社で建てていてすでにその信頼があったことや、ゆったりと何もしない贅沢を味わえるような設計を大切にするというコンセプトに共感して、色々と回らずに決めたといいます。

日照シュミレーションのもと配置された窓。階段の最上段に腰をかけると、ちょうど目線の先に近所の桜の木がみえる。

「夏のギラギラした太陽はあまり入ってきてほしくないけど、冬のあたたかい太陽はほしいとか。そんな日照シュミレーションもしてもらいました。冬は夕陽がそこの窓から入ってきて壁に当たって、赤く染まるのもいいですね」

建築工房アシストプラスアルファ株式会社 代表、沢本雅彦さんの設計デザイン。

「うちのつくる建物は、特徴的でとんがったようなものはないです。それでも、隣の家の部屋の間取りから、外の木の配置、地盤レベルなどを細かく調査して、内から外に繋がるように。“どこを見て暮らそう?”を基準にいつも設計を考えますね。

ここは建てるのがすごく楽しかった。壮大な立山連峰、広がる田畑、そして近くに立ち並ぶ桜など、この土地で家を建てれたらいいだろうなあ、ってずっと思っていたんです。朝陽や、夕暮れに真っ赤に染まる山や空、そういうのがあると生活が豊かになるからね」と、沢本さん。

建築物自体を豪華に飾るのではなく、景色や配置といった“暮らしの視点”を主役にする設計方針から、内装には主張しすぎない無垢材やナチュラルな色合いのものが選ばれました。

大地と繋がるウッドデッキ。

もともとここは傾斜地で、上下水も通っていないような場所だったそうですが、ここに住みたい、絶対ここがいい、と強く願ってくれたご夫婦が現れたことがきっかけで、地主さんにお声がけをして土地を取得、転用するところから家づくりがはじまったそう。

「23歳の時にはじめて家づくりの相談をしに行って、そこから2年かけてやっとでしたね」と歩夢さん。

家を建てる土地を決めてから近くのアパートに住んで、その周辺の住み心地や利便性も確認。

好きな建築家さんの本を読んで研究したり、同じ住宅会社で建てたオーナーさん宅の見学会にも何度も行って、希望する暮らしを具現化していきました。

「ここまで来たら、早く建てたいよりも、“この場所でどう暮らそうか”という考えにシフトしていきました。同年代の友達は、ホテルライクなテイストが好きだったりするんですが、こういう素朴でシンプルな内装が、永くずっと住み続けるにはいいと思うんですよね」とご主人。

インテリアコーディネーターの奥様によって選ばれた照明や家具、金具ブラケットにも、シンプルでありながら、そのひとつひとつの佇まいに細かな心配りを感じます。

キッチンはスイージー NZ20 ナチュラル色。

日々の食事は基本的に奥様が担当。「今日は立山きれいだな~なんて思いながら、2人分のお弁当を作ります」。

ご主人は仕事柄朝が早いことも多いそうですが、そんなときもここに立つとちょっとエネルギーが補充され、心地よくいられるようです。

ステンレス

キッチンの仕様には、シンプルな素材を選定。ステンレスの取っ手に、ステンレスのワークトップ。そして食器洗い機に選定したミーレは、扉もオールステンレスに。

心地よく日常に馴染ませて。

「毎日使うものだから、使いやすそうなものをベースに選びました」というご夫婦。

暮らしに自然と馴染む、ちょっといいもの、そんな素材を少しずつ取り入れるのが、住宅においては大切な基本の考えかたなのかもしれません。

バランス

壁付けのキッチンは大きな窓に面し、広大な大地と、身近な木々や草花も視界に取り込めるように設計。ですが、実際に窓が取りつけられて仕上がっていくにつれて、ちょっと“見えすぎる”と感じた沢本さんにより、下側にちょっとした目隠しの棚が追加されました。

「窓は、住宅のなかで最重要ファクターだと思う。陽ざし、音、におい、全部窓が関係していて、窓が気持ちいいと心地いい。でも景色は必ずしもいいところばかりではないから、その場合は心地の良いところに目がいくように絞り込んで、ほしい景色だけを切り取っていく。バランスが大事だね」と、沢本さん。

キッチン前の棚には、ご主人が好きで蒐集(しゅうしゅう)しているヴィンテージのマグカップが並びます。お茶を入れて、何気ない風景を眺めるのも2人の愛するおうち時間。

いつか宝物になる景色。

性能やデザインといった目に見える価値だけでなく、ここで暮らす人の『この場所が好き』という想いが加わると、住まいは唯一無二のものに。日々お手入れをして風景を慈しむ、そんな変わらない日常の積み重ねが、いつか家族にとって一番の宝物になっていくのでしょう。

無垢の木のある暮らし

「50年経っても100年経ってもここにずっとこの場所に居たいと思ったときに、ものが先に壊れてなくなっていってしまったら悲しいよね。私が無垢材をいいなと思うのはそういうとき。たとえば木の床の場合、傷ついてシミができて色が変わって、油分でテカりだして…人の歩いたところだけ掘られて浮造りがもっと深くなったり…。キッチンも、床も、無垢材だと時間が経つほど逆によくなっていくよね」と、沢本さん。

お施主様ご夫婦の明るい笑顔と重ねて、沢本さんが大事にする、設計以前の「木のある暮らし」メソッドも教わることができました。

そんな想いに共感する人たちが、共感する人をまた呼びこんでいくのだと思います。

そんな木のある暮らし、自然素材の住まいを慈しむご夫婦には、もうすぐ家族が増える予定です。2人の愛する景色は、時間とともに変わっていきそうですね。

(文:松岡)


このスタイルで使用している商品

設計・施工:建築工房アシストプラスアルファ株式会社


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